2004 Fiscal Year Annual Research Report
拡張アンサンブル法によるタンパク質系のフォールディングシミュレーション
Project/Area Number |
16041239
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
光武 亜代理 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (00338253)
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Keywords | 拡張アンサンブル法 / RISM理論 / レプリカ交換 / シミュレーティッド・テンパリング / モンテカルロ法 / タンパク質 / 液体論 / 分子動力学 |
Research Abstract |
拡張アンサンブル法であるレプリカ交換法とシミュレーティッド・テンパリング法を組み合わせたレプリカ交換シミュレーティッド・テンパリング法、シミュレーティッド・テンパリングレプリカ交換法の開発を行った。従来のシミュレーティッド・テンパリング法より容易にエネルギー空間上のランダムウォークを実現し、この有効性を示した。この研究に関しては、今年度論文として出版された。また、統計力学に基づくRISM理論と拡張アンサンブル法を結合したアルゴリズムの開発を行った。RISM理論で溶媒効果を取り入れる場合、全エネルギーが温度に依存する。今までの拡張アンサンブル法ではエネルギーが温度に依存する場合を取り扱うことができなかったが、レプリカ交換法を修正して、溶媒の温度依存性を取り入れた拡張アンサンブルシミュレーションができるようになった。この手法の有効性を示し、論文としてまとめた。 今年度は、既存のタンパク質ソフトTinkerに拡張アンサンブル法を組み込むことを行った。ソフトの開発をメインとした。これにより、モンテカルロ、分子動力学、どちらの場合の拡張アンサンブルシミュレーションもできるようにした。また、このソフトに、RISM理論を組み込み、RISM理論により溶媒効果を取り入れた拡張アンサンブルシミュレーションを行えるようにした。今後、20残基からなるペプチドでこの結合アルゴリズムの有効性を示す予定である。今年度は科研費の初年度であったため、共同研究者との議論のための旅費を科研費から出した。また、拡張アンサンブルシミュレーションを行うために、1Tのファイルサーバと8ノード16cpuからなるクラスターを購入した。
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