2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16041246
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
磯貝 泰弘 独立行政法人理化学研究所, 城生体金属科学研究室, 先任研究員 (00201921)
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Keywords | 蛋白質 / 分子設計 / フォールディング / 水和 |
Research Abstract |
酵素や転写因子が示す高度な機能は、天然蛋白質特有の構造特性に依存している。とくに、分子量が大きく多数の疎水性残基を含むにもかかわらず、水溶液に対して高い溶解度を示すことは、天然の球状蛋白質がもつ優れた分子物性のひとつであり、これらの性質がNMRやX線結晶構造解析による立体構造決定を可能とする。本研究では、タンパク質がこれらの特性を実現するためのエッセンスを明らかにすることを目的として、人工蛋白質のデザインとフォールディングの研究を行っている。本年度は以下のような研究成果を得た。 1.天然のシトクロームcが小分子量で高い酸化還元電位をもつことに注目し、ポリペプチドとヘム側鎖が共有結合するc型の人工シトクロームの設計と合成を行った。合成された人工蛋白質の構造と物性を天然シトクロームと比較することにより、シトクロームの機能発現の仕組みについて検討した。その結果、天然シトクロームcの機能(高い酸化還元電位)が、軸配位子との結合を含むヘムの共有結合構造だけでなく、ヘム周辺の疎水的な非共有結合構造によって実現されていることが明らかとなった。天然シトクロームcにおけるヘムとポリペプチド間のチオエーテル結合は、不安定な酸化型シトクロームからヘムが離脱するのを防ぐことにより、間接的に機能の実現に寄与しているものと考えられる。 2.分子設計用に開発した経験的ポテンシャル関数を用いて、λファージ由来Cro蛋白質(λCro)の立体構造に折り畳まれるアミノ酸配列をデノボ設計した。λCroは、全長67残基のサブユニットからなるホモダイマーを形成し、2次構造としてαヘリックスとβシートをもつ。設計されたダイマー蛋白質のモノマー変異体を合成し、多次元NMR解析により、その溶液構造を決定した。得られた平均構造は、天然λCroモノマー変異体のX線構造と比較して、主鎖のRMSDが2.1Åの精度で一致した。
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[Journal Article] Design and Synthesis of de Novo Cytochromes c2004
Author(s)
Ishida, M., Dohmae, N., Shiro, Y., Oku, T., Iizuka T., Isogai, Y.
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Journal Title
Biochemistry 43
Pages: 9823-9833
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