2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16041246
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
磯貝 泰弘 独立行政法人理化学研究所, 城生体金属科学研究室, 先任研究員 (00201921)
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Keywords | 蛋白質 / 分子設計 / フォールディング / 安定性 / 立体構造 |
Research Abstract |
天然の球状蛋白質のフォールディング過程は協同的であり、このことが、蛋白質が示す"蛋白質らしい"構造物性の源となっている。協同性の機構を説明する幾つかの理論モデルが提案されているが、アミノ酸配列と協同性との関係を論じた研究例は少ない。そこで本年度は、フォールディングの協同性が生み出される具体的メカニズムを明らかにすることを目的として研究を行い、以下のような成果を得た。 1.天然蛋白質のアミノ酸配列とフォールディング特性の関係を調べるために、ミオグロビンの疎水性コア変異体を作成し、塩酸グアニジンを用いて変性実験を行った。その結果、ミオグロビンのアミノ酸配列は、フォールディング中間体を不安定化するように厳しく選ばれており、それによって協同的な折りたたみ反応を実現していることが明らかになった。中間体の形成は、大きな球状蛋白質が正しく折りたたまれるのに不可欠なステップであるが、過度に安定な中間体は、細胞内でミスフォールドした分子重合体の形成を促進する。従って、中間体の不安定化は、蛋白質の分子進化の淘汰圧となり得る。 2.前年度までに設計・合成した人工Cro蛋白質は、非協同的な熱変性反応を示した。そこで、協同的なフォールディング反応をデザインするため、人工Cro蛋白質のNMR構造に基づいて、疎水性コアを形成するアミノ酸部位の内4つを選んで残基置換し、一連の変異蛋白質を作成した。これらの変異体について熱変性実験を行い、協同的フォールディング反応を示す人工蛋白質を得た。本結果は、NMR構造が決定できる様な単一な立体構造の形成は、協同的なフォールディング反応実現のための十分条件とは成り得ず、天然様の協同的なフォールディング特性を実現するためには、さらにアミノ酸配列の絞り込みが必要であることを示す。
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Research Products
(6 results)