2004 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質フォールディングにおけるフォールディング・エレメントの役割
Project/Area Number |
16041248
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
新井 宗仁 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物機能工学研究部門, 研究員 (90302801)
|
Keywords | 蛋白質 / フォールディング / フォールディング・エレメント / 反応速度論 / ジヒドロ葉酸還元酵素 / 構造形成能 / 自己組織化 / 安定性 |
Research Abstract |
蛋白質のフォールディング・エレメント(FE)とは、「蛋白質がfoldableであるためには主鎖の連結が必須な部位」である。本研究では、蛋白質のfoldabilityを決定する上でFEが果たす役割の解明を目指した研究を行い、以下の成果を得た。 1.これまでの研究から、蛋白質がfoldableになるかどうかの鍵が、フォールディング反応初期のFE間相互作用様式の中に隠されていると考えられる。そこで我々は系統的配列摂動解析法を開発し、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)のフォールディング反応初期におけるFE間相互作用の形成過程を測定した。その結果、DHFRのループ・サブドメイン内にあるFEが、foldabilityを決定する上で重要な役割を果たすことが示唆された。 2.FEの役割を考えるとき、FEが単独で安定な天然状態様構造を形成できるかどうかが重要な問題となる。DHFRのFE部分に対応するペプチドの構造を実験と計算で調べた結果、FE単独では安定に構造を形成できないことがわかった。したがって、FEは非局所的相互作用を通して蛋白質のfoldabilityを決定すると考えられる。 3.蛋白質がfoldableであるための必要条件は全FEが存在することである。これが十分条件でもあるかどうかを、FEペプチド間の相互作用解析により調べた結果、FE単体の存在だけでは不十分であり、FEが互いに連結されていることも、蛋白質がfoldableであるための必要条件であることが示された。 4.FEを理論的に同定するにはFE配列のプロファイル作成が必要となる。そこでFE内に網羅的な1アミノ酸置換を導入し、FE配列の部分的なプロファイルを得た。またプロファイル解析には、FEペプチドではなく全長蛋白質を用いる必要があり、FEが非局所的相互作用において重要な役割を果たすことが再び示唆された。
|