2005 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質フォールディングにおけるフォールディング・エレメントの役割
Project/Area Number |
16041248
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
新井 宗仁 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物機能工学研究部門, 研究員 (90302801)
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Keywords | 蛋白質 / フォールディング / 反応速度論 / ジヒドロ葉酸還元酵素 / 構造形成能 / 安定性 / 自己組織化 / 折りたたみ |
Research Abstract |
1.蛋白質がfoldableであるための必要条件の一つは、全フォールディング・エレメント(FE)の存在である。これに加えてFEが互いに連結されていることも必要条件の一つであることを示した。一方、FEは非局所的なFE間相互作用において重要な役割を果たすことが示された。したがって蛋白質がfoldableとなるための必要条件は「全FE間相互作用が効率的に実現されること」と言い換えられる。 2.FE間相互作用の効率的実現のための条件探索を目的として、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)のFEシャフリング実験を行った結果、様々なFE連結順序の場合にDHFRがfoldableとなることが示された。また、FE間のリンカー配列とその長さについては、FE間相互作用を妨げない範囲において可変であることが示された。 3.連続フローX線溶液散乱法を用いてDHFRのFE間相互作用の形成過程を調べた結果、300マイクロ秒以内に慣性半径23Aの中間体を形成すること、および、その後10ミリ秒までの間に大きな構造変化はないことが示された。また、蛍光エネルギー移動法と連続フロー時間相関一光子計測法を組み合わせて測定した結果、30マイクロ秒以内に分子サイズがコンパクトになること、および、100マイクロ秒の時定数を持った小さな構造変化の存在を見出した。 4.様々な蛋白質の折り畳み中間体が持つ分子サイズや二次構造などの特徴を統計的に調べた結果、中間体の構造は、天然状態における構造特性と強い相関を持つことが示唆された。 5.蛋白質のFE領域を同定する際には、N末端とC末端を適切なリンカーで連結させる必要がある。新規な末端連結法としてシアノシステインを用いた方法を開発し、DHFRを環状化することによって、機能を損なわずに蛋白質を安定化できることを示した。
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