2004 Fiscal Year Annual Research Report
免疫グロブリン様受容体PIRによる免疫監視機構の研究
Project/Area Number |
16043203
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 晃 東北大学, 加齢医学研究所, 講師 (20344723)
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Keywords | 移植・再生医療 / 免疫学 |
Research Abstract |
免疫グロブリン様受容体PIR(Paired immunoglobulin-liker receptor)による自己認識機構ウィルスなどに侵襲された非自己組織と正常自己組織の鑑別は、生体がもつ免疫監視機構の中でも最も重要な識別機構の一つである。自己・非自己認識システムの破綻は、自己免疫疾患など、即座に疾患の発症につながる。とりわけ主要組織適合性抗原であるMHCクラスI分子はこの自己認識システムの主要なマーカーとしての役割を果たしている。これまでその認識機構はCD8+T細胞のT細胞受容体(TCR)やNK細胞上のキラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)によるものが知られているが、CD8+T細胞やNK細胞以外の、例えばB細胞やDCなど他の免疫担当細胞においてMHCクラスI分子の認識システムの存在は不明であった。一方、PIRは免疫グロブリン様受容体ファミリーに属し、活性化シグナル伝達を担うPIR-Aと抑制性シグナル伝達を行うPIR-Bの受容体ペアである。これまでその生理的リガンドは同定されていなかったが、今回は我々はリコンビナントPIR-B蛋白を作製し、PIR-BがMHCクラスI分子と結合することを明らかにした。またPIR-AもMHCクラスI分子と結合することを明らかにした。さらにB細胞上のPIR-BがMHCクラスI tetramer刺激によりそのチロシンリン酸化が亢進することから、PIR-BがB細胞を恒常的に抑制していることが明らかになった。一方、PIR-B遺伝子欠損マウスではgraft-versus-host disease (GVHD)反応が亢進することから、PIR-Bがallo-MHCクラスIとの反応を抑制していると考えられた。これらの結果からPIRはTCR,KIRと並んで生理的に重要な第3の自己認識機構を担っており、移植免疫において重要な役割を担っていると考えられた。
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Research Products
(3 results)