2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16043209
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂本 明美 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (90359597)
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Keywords | 記憶T細胞 / Bcl6 / ウイルス感染 / 抗原特異的T細胞 / granzyme B / エフェクターT細胞 |
Research Abstract |
記憶CD8T細胞は感染に対する免疫応答および長期にわたる生体防御の根幹をなす細胞である。ところがこの記憶CD8T細胞の分化に関する分子レベルの機構はまだ明らかにされていない。 我々は、胚中心を介した記憶B細胞の分化に必須の転写抑制因子Bcl6がCD8T細胞分化にも影響をおよぼすこと.を明らかにした。すなわち、Bcl6欠損マウスでは記憶CD8T細胞の量的質的維持がなされず、一方lck-Bcl6トランスジェニック(Tg)マウスでは記憶CD8T細胞数が増多し、再刺激時に著明な再増殖が認められた。 すでに、記憶CD8T細胞はナイーブT細胞から活性化効果CD8T細胞を経て分化することが知られているが、この分化におけるBcl6ファミリーの役割を明らかにする目的で、誘導された記憶CD8T細胞の性質を解析するとともに、分化過程におけるBcl6の発現時期、および役割を解析した。 1)抗原特異的記憶CD8T細胞におけるBcl6の役割の検討 a)Bcl6欠損およびlck-Bcl6Tgマウスで誘導された記憶CD8T細胞はいずれもCD62L+のcentralメモリーCD8T細胞(Tcm)が多数をしめていた。 b)これらTcmの増殖応答は異なり、Bcl6欠損CD8T細胞では増殖能が低下していた。 c)野生型のマウスで誘導したTcmでもeffectorメモリーCD8T細胞(Tem)もともに記憶CD8T細胞にはBcl6が発現していた。 以上から、Bcl6はTcmの増殖能および細胞数を維持するために重要な転写抑制因子であることが明らかになった。 2)抗原特異的エフェクターCD8T細胞におけるBcl6の役割 a)Bcl6はT細胞レセプター刺激後早期およびエフェクターCD8T細胞に発現していた。 b)Bcl6はグランザイムB遺伝子に塩基配列特異的に結合し、転写を制御していることが明らかになった。 グランザイムBは感染症発症時において、感染細胞の除去のみならず活性化した自己のCD8T細胞そのものの細胞数の調節にも関わっており、長期の記憶CD8T細胞の存続にも影響を与える可能性が考えられた。
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