2004 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞・リンパ球前駆細胞の増幅分化制御とその免疫監視機構再生への応用
Project/Area Number |
16043213
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 智 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (10242116)
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Keywords | 造血幹細胞 / アダプター蛋白質 / 骨髄移植 / シグナル伝達 / 再生医療 / 遺伝子治療 / サイトカイン / サイトカイン受容体 |
Research Abstract |
1)造血幹細胞・リンパ球前駆細胞の増幅を制御する分子機構の解明:Lnk欠損により機能的な骨髄造血幹細胞が著増すること、一部の造血幹細胞においては細胞あたりの造血系再構築能も亢進していることを個々の造血幹細胞の競合的骨髄再構築能を個別に検討することにより明らかにした。CD34陰性Kit陽性Sca-1陰性の造血幹細胞における遺伝子発現プロファイルの変化についてジーンチップによる検討を推進した。 2)骨髄内における造血幹細胞のホーミング機構の解析:Lnkを過剰発現させた線維芽細胞株ではアクチン細胞骨格に変化が生じ、細胞分裂や細胞遊走が阻害されることを明らかにした。分化抗原陰性の造血前駆細胞を正常及びLnk欠損マウスより精製し異なる蛍光色素で標識して静注したところ、Lnk欠損前駆細胞の骨髄への分布が亢進している可能性が示唆された。 3)造血幹細胞、リンパ球前駆細胞の分化増殖制御に向けての基礎技術開発:Lnk阻害法を開発し、免疫監視機構の再生能亢進への応用の基盤整備を目指した。種々のLnk変異体をc-Kit依存性に増殖する細胞株に発現させ機能ドメインを同定した。増殖抑制にはSH2ドメインが必須であり、SH2変異体はドミナントネガティブ(DN)変異体として機能することがわかった。SH2変異に加えてPHドメイン欠損とC末端領域欠損を組み合わせることで、より効果的なDn-Lnk変異体を作出した。得られたDN-Lnk変異体をレトロウィルスベクターによりマウス造血前駆細胞に感染導入し骨髄移植実験系で効果を検討した結果、DN-Lnk変異体を導入した前駆細胞の造血能亢進が観察された。さらに、DN-Lnk変異体のプラスミドDNAによる一過性発現によっても造血前駆細胞の生着能が亢進すること、非骨髄破壊的移植条件下でも免疫不全マウスの免疫監視機構を効率よく再建できることがわかった。
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Research Products
(6 results)