2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16043224
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
木梨 達雄 関西医科大学, 医学部, 教授 (30202039)
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Keywords | インテグリン / 細胞極性 / 遊走 / 免疫応答 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
1.RAPL下流分子Mst1の同定と機能検索 RAPL分子によるリンパ球極性とインテグリン接着の分子機構を明らかにするために、RAPL下流分子の探索を前年度に引き続き行った。yeast two-hybrid法によってスクリーニングしたところ、セリン・スレオニンキナーゼMst1/STK4が単離された。RAPLは細胞内でMst1とcoiled-coil領域を介して会合し、その会合は活性化型Rap1(Rap1V12)を発現すると亢進する。RAPL、Rap1V12の存在下でMst1のキナーゼ活性が亢進し、自己リン酸化が誘導される。リンパ球をケモカインSLCやTCR架橋によって刺激すると、Mst1のリン酸化が亢進する。しかし、RAPL欠損のリンパ球ではそのリン酸化が著しく低下している。Mst1はリンパ球の核周辺領域ゴルジ近辺に存在し、ケモカイン刺激した場合、leading edge側でRAPL、LFA-1と共局在する。しかし、RAPL欠損のリンパ球ではMst1の局在はdiffuseになる。これらのことはRAPLはMst1のキナーゼ活性と局在とを調節していることを示している。レンチウイルスによってMst1特異的shRNAをリンパ球に導入し、Mst1のknockdownを行うとSLCやTCR架橋によるLFA-1接着が著しく低下する。これらのことからMst1はRAPLによる接着制御に必須の下流分子であることが明らかになった。 2.リンパ球接着カスケードの再構成系樹立とリンパ球停止シグナルの解明 前年度の生体内顕微鏡によるリンパ球ホーミングの解析からRAPL-/-リンパ球は高内皮静脈(HEV)による接着過程で血管内皮への安定した接着が低下し、その結果リンパ組織への移動が障害されている。リンパ球ホーミングの過程をin vitroで再構築し、ローリングから停止にいたる一秒以内の接着過程を制御するシグナルを明らかにするため、proB細胞株BAF細胞にインテグリンα4β7を発現させた。α4β7を発現したBAF細胞はケモカイン依存性にMAdCAM-1に結合し、生理的還流化おいてローリングから停止に至る過程を再現できた。現在、Giファミリーの三量体Gタンパクアイソタイプを調べ、Gαiとβγのシグナルからリンパ球停止に至る過程でRap1やPI3K, PKC, PLC, calciumの必要性を解析中である。
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Research Products
(3 results)