2004 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ球とストローマ細胞の相互作用によるリンパ節細網ネットワーク構築機構
Project/Area Number |
16043226
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
片貝 智哉 京都大学, 医学研究科, 助手 (00324682)
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Keywords | リンパ組織 / ストローマ細胞 / 細網線維芽細胞 / ケモカイン / リンフォトキシン |
Research Abstract |
リンパ節は効果的な獲得免疫応答のための「場」を与える二次リンパ器官であり、各種免疫細胞が区画化された機能的な組織構造がみられる。この特徴的な組織構造はストローマ細胞が構築する緻密なネットワークによって裏打ちされ支えられている。特に細網線維芽細胞(FRC)とそれらが産生する細胞外マトリクス(ECM)繊維からなる細網ネットワーク(RN)はリンパ節組織全体を幅広く支持しており、免疫細胞の活動のために必要な足場と空間を提供していると考えられる。しかし、どのようにしてこの洗練された微細構造が構築されるのかはこれまで明らかにされていなかった。我々がマウスのリンパ節より樹立したストローマ細胞株BLS4は線維芽細胞状の形態を示し、定常状態において細胞質内にER-TR7抗原を認めるほか、いくつかのFRCマーカーを発現することからFRC細胞株であると考えられる。興味深いことに、この細胞はリンパ球との共培養によりER-TR7抗原を細胞外に放出し緻密な網目構造を構築する。また、TNFやLTα3により断片的な繊維の産生が見られ、部分的にTNF受容体を介したシグナル経路が関与することが示唆された。さらに、TNFやLTα存在下においてLTβ受容体からのシグナルを模倣する抗LTβ受容体アゴニスト抗体を添加すると劇的なメッシュワーク形成が誘導されたことから、TNF受容体とLTβ受容体の同時刺激が重要な役割を果たすことが明らかになった。BLS4にNFκB/RelA複合体の活性化を抑制するIκB変異体を強制発現させるとメッシュワーク形成を完全に抑制することから、TNF受容体により活性化されるこの経路が必須であることも確認された。リンパ組織の形成・維持にはとりわけTNF/LT系シグナルが重要であるが、BLS4を用いた解析から得られた知見はこうした事実と合致する。LTβ受容体のリガンドであるLTα1β2はリンパ球の細胞膜上タンパク複合体であり、シグナルの伝達には受容体発現細胞との直接的な接触が必要である。
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Research Products
(6 results)