2005 Fiscal Year Annual Research Report
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16043238
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
渡邊 武 独立行政法人理化学研究所, 免疫監視機構研究ユニット, ユニットリーダー (40028684)
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Keywords | 人工リンパ節 / ストローマ細胞 / 生体適合材料 / 二次免疫反応 / 免疫不全症 / 感染症治療 / エイズ治療 / がん治療 |
Research Abstract |
免疫組織構築と免疫反応を三次元的、時間的に調べるための新しいシステムとして、また、将来的には感染症、がん、免疫不全状態の治療に応用する事を目的として、人工的なリンパ節組織の構築を行い、その構造が自然のリンパ節に類似した抗原特異的抗体産生能を有する組織を人工的に構築する方法を確立した。この人工リンパ節を非免疫状態の個体、あるいは免疫不全症(SCID)の個体に移入すると強い二次免疫反応を誘導することが出来た。このような機能をもった人工リンパ節の成功は世界で初めてである。特に免疫不全マウスにこの人工リンパ節を移植して抗原刺激すると、通常のマウスを過免疫した場合に比べて50-100倍の強い抗体産生が誘導されることがわかった。また、T細胞の記憶細胞、B細胞の記憶細胞が人工リンパ節内に濃縮されるという結果が得られた。このことは、我々の人工リンパ節が将来、ヒトの免疫不全症、重症感染症、エイズなどの難治性感染症、あるいはがんの免疫療法に応用出来る可能性を示している。一方、このような装置は免疫反応を3次元構造物で解析することを可能にする。今後はさらに一層、改良を重ねてより実用的な装置の構築を行う予定である。またリンパ組織の分化、構築の機構、免疫記憶、免疫抑制、免疫監視機構などの研究を行う。現在、その免疫細胞系がほぼ100%ヒト由来の細胞から構成されているヒト化マウスを用いて、ヒト型の人工リンパ節、リンパ組織の構築についても研究を開始した。 将来、このような装置は障害された免疫監視機構の機能の修復、強化に応用出来ると考える。
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