2005 Fiscal Year Annual Research Report
イノシトールリン脂質代謝酵素欠損による免疫不全症とメンブレントラフィック異常
Project/Area Number |
16044204
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐々木 雄彦 秋田大学, 医学部, 教授 (50333365)
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Keywords | イノシトールリン脂質 / ファゴサイト / マスト細胞 / 炎症 / 胚発生 |
Research Abstract |
イノシトールリン脂質(ホスホイノシタイド:PIs)は細胞膜の微量構成因子であり、多様な細胞応答の制御分子として機能する。PIsの中でも特にホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸は、エンドサイトーシス関連分子などを直接的に制御することが知られている。本研究では、PIs代謝酵素欠損マウスを用いた遺伝学的解析により、メンブレントラフィックの異常と免疫細胞が関与する病態との関連を明らかにすることを目的としている。これまでに、ホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸産生酵素PIPKIαの欠損マウスを用いて、主にマスト細胞におけるエンドサイトーシスとエキソサイトーシスに関する解析を行った。PIsの中でその存在が最も遅れて発見されたホスファチジルイノシトール3,5-二リン酸の機能に関しては、出芽酵母で液胞の恒常性維持に関わることが知られている。この興味深いイノシトールリン脂質の哺乳類細胞および個体における機能を明らかにする解析を行った。PIPKIα欠損骨髄由来マスト細胞ではエキソサイトーシス(脱顆粒)が亢進し、PIPKIα欠損マウスではI型アレルギー反応が増悪することを見出した(Sasaki, J.Exp.Med.201,2005)。一方、エンドサイトーシス(Fcε受容体のinternalization)は正常であった。マスト細胞のエンドサイトーシスに関しては、現在、他のPIPKIアイソザイム欠損細胞も用いた解析を計画している。ホスファチジルイノシトール3,5-二リン酸の産生酵素の遺伝子欠損マウスの作製を進めた。このノックアウトES細胞においては、細胞内小胞の顕著な形態異常(大きな空胞の蓄積)を認めた。
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