2005 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体とゴルジ体間の小胞輸送の障害による心筋症発症機構の解明
Project/Area Number |
16044207
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
青江 知彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (90311612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠塚 典弘 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (80261907)
山本 達郎 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (20200818)
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Keywords | quality control / 小胞体 / 蛋白質 / KDEL受容体 / 心筋症 |
Research Abstract |
分泌蛋白、膜蛋白は小胞体で成熟し細胞内に分泌輸送されて機能を発現する。虚血、低酸素、毒物や遺伝子変異などにより異常蛋白が小胞体に集積すると小胞体ストレス反応が起こり、異常な蛋白は分解処理される。我々はKDEL受容体が、ゴルジ体から小胞体への逆輸送を担うCOPI小胞輸送の制御機構であると共に、小胞体quality control機構の重要な要素でもあることを培養細胞で示して来た。そこで、個体におけるKDEL受容体によるゴルジ体から小胞体への逆行性輸送の意義を明らかにするために、輸送が制限された、変異KDEL受容体発現トランスジェニックマウスを作製した。 変異KDEL受容体マウスでは生後10数週を経てから心不全を発症するものが現れた。心室腔の拡大や心重量の増加も見られ、組織所見で心筋細胞に大小不動、空胞変性が見られた。また、TUNEL染色により心筋細胞死が観察された。心不全症状を呈していない変異マウスにおいても、摘出心標本による機能測定から左室の収縮力低下、また、パッチクランプ法によってCaイオンチャネルの機能低下が認められた。電子顕微鏡による観察では、小胞体の分画と考えられる部分に異常な凝集物の集積を認めた。ウエスタンブロット法によれば、変異マウス心筋細胞にはユビキチン化蛋白、CHOPの集積を認めた。こうした所見から、ゴルジ体から小胞体への逆行性輸送の障害によって小胞体quality control機構が障害され、心筋細胞に異常な蛋白質が蓄積され、小胞体ストレス反応から細胞死が誘導され、拡張型心筋症が発症したと考えられた。 これらの解析から、個体レベルでもKDEL受容体によるゴルジ体から小胞体へのCOPI逆輸送は小胞体quality control機構に重要であると共に、心疾患にも神経変性疾患で想定されているのと同様に小胞体ストレス反応が関与し得る事が示唆された。
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Research Products
(1 results)