2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜損傷によって制御されるゴルジ体からの小胞輸送に関する研究
Project/Area Number |
16044211
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東郷 建 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40334247)
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Keywords | 膜修復 / 微小管 / EB1 / GFP / カルシウム / プロテインキナーゼC / ゴルジ体 |
Research Abstract |
細胞膜損傷は、動物組織において一般に観察される。細胞膜損傷は損傷が誘起するexocytosisによって修復される。細胞膜が繰り返し損傷を受けると、2回目の損傷修復は1回目よりも早くなる。注目すべきは修復促進反応へのbrefeldin Aの作用である。BFA存在下では2回の損傷を細胞の同じ場所に与えた場合、1回目の修復には影響がみられないが、2回目の修復時の促進反応が抑制される。また2回目の損傷を別の場所に与えた場合はBFAの影響を受けない。このことはゴルジ体からの小胞輸送が損傷を受けた場所に向いていることを示唆している。この方向性の決まった反応は、Ca^<2+>とプロテインキナーゼCによって制御されている。本研究では細胞膜損傷後の細胞骨格の動態、および小胞輸送を観察することを目的とした。まず本年度は細胞骨格の動態を中心に解析を行った。 実験系はPtK2細胞(ATCC CCL-56)(以下、単に細胞)とした。細胞膜損傷後の細胞骨格の動態を観察するため、細胞にtubulin-GFPあるいはEB1-GFP遺伝子を導入してこれを発現させ、微小管や微小管プラス端を可視化し、細胞膜損傷によってゴルジ体からのチューブリンの配向に変動が見られるかについて検討した。その結果、細胞膜損傷はまず微小管の脱重合を引き起こし、その後、微小管プラス端が細胞膜損傷が起こった箇所に向かって伸長することを見出した。この微小管プラス端の伸長反応はCa^<2+>に依存しており、プロテインキナーゼCの制御は受けていなかった。 以上のことから、Ca^<2+>依存的な微小管プラス端の細胞膜損傷箇所への伸長が細胞膜損傷の修復促進反応に重要な役割を果たしていること、またプロテインキナーゼCは微小管とは別のターゲットを制御することで修復促進反応に寄与していることが示唆された。
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