2004 Fiscal Year Annual Research Report
薬物取り込み・排出トランスポーターの細胞膜ソーティングの分子機構と薬理学的意義
Project/Area Number |
16044217
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
加藤 将夫 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (30251440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 彰 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (10019664)
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Keywords | 細胞内sorting / トランスポーター / アピカル膜 / PDZタンパク質 / タンパク質間相互作用 / 異物排除 / yeast two-hybrid / 薬物輸送 |
Research Abstract |
薬物トランスポーターは医薬品の吸収、分布、排泄などの体内動態過程の重要な役割を果たすことが示唆されている。従ってそれらの細胞膜表面での発現のみならず細胞内でのトラフィックは、医薬品の効果や副作用と密接に関係する可能性がある。本研究では、これまで細胞内トラフィッキングならびに細胞膜への局在に関わる分子機構がほとんど明らかとなっていない薬物トランスポーターに焦点を当て、薬の生体内への吸収および生体外への排泄に重要な役割を果たす小腸および腎臓に局在するトランスポーターについて、それらと相互作用をするアダプタータンパク質を見い出し、薬物輸送、ひいては薬物体内動態に及ぼす生理的役割を解明することを目的とした。本年度は、腎臓や小腸のアピカル膜に局在する種々のトランスポーター(有機アニオントランスポーターOATs、有機カチオントランスポーターOCTNs、ペプチド/βラクタム抗生物質トランスポーターPEPTs)について、同じくアピカル膜ないしその近傍に発現する4つのPDZタンパク質(分子内に複数のPDZドメインを有する)との特異的な相互作用を見いだし、一方でそれらトランスポーターと同一familyに属し血液側に発現するトランスポーターでは相互作用しないことを見いだした。これら相互作用はいずれもトランスポーターのC末端4アミノ酸残基とPDZドメインが重要であり、トランスポーターの機能調節に関わることが示唆された。このことは薬物トランスポーター群のアピカル膜局在とPDZタンパク質との関係を示唆する最初の報告であり、局在機構の解明につながるものと考えられた。一方、血液側膜に局在するトランスポーター群について、数種類のアダプタータンパク質群との相互作用を検討したところ、特異的な相互作用が認められたものの、その生理的役割については今後さらなる検討が必要となった。
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