2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16044236
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小澤 政之 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90136854)
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Keywords | カドヘリン / β-カテニン / p120 / 輸送 / 蓄積 / 細胞表面 / 変異 / 小胞体 |
Research Abstract |
カドヘリンは細胞と細胞をくっ付けるはたらきをしている。カドヘリンがはたらかなくなった結果、癌細胞の浸潤性が増大し、その結果、癌の転移が誘発されることが知られている。カドヘリンがはたらかなくなる理由には、1)遺伝子に変異が起こり機能を持ったカドヘリンが作られなくなる、2)合成が抑えられたり、分解が亢進してしまい機能を持ったカドヘリンの数が足りなくなる、3)カドヘリンの活性制御機構の破綻の結果カドヘリンが機能できなくなる、等が考えられる。申請者らは長年にわたり臨床系の教室との共同実験を行ってきたが、その過程で調べてきた試料の多くに、E-カドヘリンの細胞表面への輸送が阻害され、細胞内に蓄積してしまっている例を認めてきた。そこで、本研究ではE-カドヘリンの細胞表面への輸送がうまく行かなくなる原因を明らかにすることを目的として研究を行った。各種変異カドヘリンをMDCK細胞で発現させ、その細胞内分布を蛍光抗体法により測定した。その結果、次の点が明らかになった。カドヘリンの貫通ドメイン隣接領域にはp120の結合部位があるが、これに変異を導入してp120が結合できないようにしたカドヘリンも細胞表面に輸送され、そこに留まることが判明した。この結果は、米国のグループが報告している結果と大きく異なる。一方、β-カテニン結合部位に変異を導入してβ-カテニンが結合できないようにしたE-カドヘリンの細胞表面への輸送は完全に阻止されることが判明した。この輸送を阻害されたE-カドヘリンが蓄積している部位が小胞体なのか、あるいは別の部位なのかを現在検討している。
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