2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞極性タンパク質による上皮細胞小胞輸送制御の分子機構
Project/Area Number |
16044239
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
鈴木 厚 横浜市立大学, 医学部, 講師 (00264606)
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Keywords | 上皮細胞 / PKC / 細胞極性 / PAR / 小胞輸送 |
Research Abstract |
当初の計画通り、本年度は以下の二点で研究を進め、それぞれで重要な知見を得るに至っている。 1)上皮細胞極性が普遍的な細胞極性タンパク質群、aPKC/PARタンパク質群によって制御を受けていることを我々は明らかとしてきており、特に近年、aPKCがその下流で上皮細胞側底膜に局在するPAR-1キナーゼをリン酸化しその膜局在を負に制御していることを明らかとしている。今回、このリン酸化部位をアラニン変異させ安定に側底膜に局在するようにしたPAR-1を培養上皮細胞、MDCK細胞に高発現すると、その側底膜が高度に伸張し、かつ頂端膜のマーカータンパク質の異常な濃縮も見られるようになることを発見した。この結果は、PAR-1が側底膜、頂端膜両方の膜ドメインの発達を促進する活性を有することを示しており、実際このことはMDCK内在性のPAR-1をRNA干渉法によってノックダウンすることによっても支持された(すなわち、ノックダウンによって細胞の高さの顕著な低下と頂端膜マーカーシグナルの低下が見られた)。現在、各膜ドメインに特異的に局在する各種タンパク質(小胞の融合を担うシンタキシン3,4を含む)がPAR-1変異体発現細胞、あるいはノックダウン細胞で何らかの影響を受けていないかどうか細胞染色レベルで検討を進め一定の結果を得つつある。また、PAR-1が、培養上皮細胞において頂端膜直下で濃密な網目を形成しているマイクロチューブルの不安定性を引き起こしていることも発見しており、小胞輸送とこの現象との関連についても検討を進めている。 2)一方、PAR-1による上皮細胞極性制御分子メカニズムに分子レベルで迫るため、培養上皮細胞内でPAR-1と特異的に結合するタンパク質を検索し、400kDaのPAR-1結合タンパク質を発見した。すでに質量分析により分子の同定も済ませており、現在精力的にPAR-1の機能との関連に研究を進めている。
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