2004 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン分泌顆粒輸送の可視化解析-貯蔵からFusionまで-
Project/Area Number |
16044240
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
今泉 美佳 杏林大学, 医学部, 講師 (40201941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永松 信哉 杏林大学, 医学部, 教授 (80231489)
菊田 敏輝 杏林大学, 医学部, 助手 (80267468)
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Keywords | インスリン / TIRFM / 開口放出 / 細胞内輸送 / 膵β細胞 / 糖尿病 / インスリン分泌 |
Research Abstract |
本研究では、ヒトインスリンのC末端にGFPを融合したキメラ蛋白質を初代培養膵β細胞に発現させることでインスリン顆粒を標識し、全反射顕微鏡(TIRFM)下で顆粒の動態を時間的空間的に解析し、分泌顆粒の貯蔵→形質膜へのターゲティング→ドッキング→プライミング→融合(fusion)をリアルタイムでかつ単一顆粒レベルで画像解析し、以下の点を明らかにした。 (1)グルコース刺激による膵β細胞からのインスリン分泌は2相性である。1)高glucose刺激下での分泌第1相では予めdockingしている顆粒からのfusionが見られ、第2相では新たに供給されて形質膜上にdockingした顆粒からのfuisonが観察された。2)第2相で観察される顆粒のdocking時間は50ms以下であり、第1相に比べて非常に短かった。3)第1相での顆粒のfusion部位はTAT融合Cy3標識抗体を用いた解析からsyntaxin1 clusterの局在と一致したが、第2相ではsyntaxin1 clusterとは異なる部位でfusionが観察された。以上の結果より第1相と第2相におけるインスリン顆粒の開口放出機構は共通のメカニズムではなく、顆粒のプライミングの状態および放出部位が異なっている可能性が強く示唆された(Biochem.J.2004,Diabetologia,2004)。 (2)CASTは神経synapseのactive zone構成蛋白質(CAZ : cytomatrix at the active zone)である。本研究で私達はCAST2が膵β細胞に存在し、insulin顆粒のdocking/fusionを調節していることを見出した。免疫電顕法による膵島の解析ではCAST2はblood vesselに面したβ細胞の形質膜上に局在していた。TIRFMによるMIN6β細胞の観察では、CAST2は形質膜上でclusterを形成しており、insulin顆粒はsyntaxin clusterと共局在しているCAST2 cluster上にdockingし、fusionはCAST2 cluster上で選択的に引き起こされた。CAST2のCAZ complex形成を阻害するペプチドを細胞内に導入した場合、またCAST2 siRNAを細胞内に導入した場合、インスリン顆粒のdocking/fusionが強く阻害された。以上の結果よりCAST2はインスリン顆粒のexocytosis部位を規定しており、docking/fusionを調節している可能性が強く示唆された。このようにCAZタンパク質CAST2は神経細胞における神経伝達物質放出に関与するだけでなく、膵β細胞におけるインスリン分泌にも関与していることが示唆された(Mlo.Cell.Biol.in submitted)。
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Research Products
(6 results)