2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16045209
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 宏光 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (10263310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 康 大阪大学, 医学研究科, 助手 (70362704)
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Keywords | 精子 / 男性不妊症 / 遺伝子 / KOマウス / クロマチン / Genome / エピジェネティック / 核 |
Research Abstract |
男性不妊症の治療法として成熟精子の数が少ない場合、ICSIや、ROSNIと呼ばれ精子や未分化円形精子細胞核の卵内への核の注入による治療が試みられる。しかしこれらの方法では受精卵の胚発生及び妊娠成功率は極めて低い。また、マウスにおいては精子に存在するタンパク質が胚発生の引き金となることも明らかにされている。これらの事実は成熟精子の核やタンパク質が受精後の胚発生に重要な役割を果たしていることを意味する。精子細胞核は、分化の過程でヒストンクロマチンからTP、Protamineへと置き換り、伸長精子細胞では転写は不活化状態になるといわれてきた。しかし、我々が単離を進めてきた精子形成特異的遺伝子中には、精子細胞分化過程でのクロマチン構造変化や遺伝子発現に関わる新規核タンパク質遺伝子が多数存在し、精子完成直前でも尚新たな転写が行われていた。これらの事実は、精子核形成は単にProtamineによる核凝縮と転写の不活化だけでなく、受精後の生命現象に必要な核の状態の形成や、核タンパク質の準備が重要であることをうかがわせる。 研究では、(A)精子細胞クロマチン構造に関与する遺伝子の網羅的クローニングと、得られた新規核タンパク質の機能解析、また既知のクロマチンタンパク質と各産物の相互作用、それらがもたらすクロマチン構造変化と遺伝子発現、(B)そのクロマチン状態に裏打ちされた精子細胞分化と、受精後の発生を保障する精子クロマチン構造の役割を明らかにすることを目的としてすすめてきた。今回、独自にクローニング解析を行った新規ヒストンH1様円形精子細胞核蛋白質HANP1について、詳細な解析を進めた。遺伝子改変動物の構築と解析、生化学的解析の結果、HANP1は精子プロタミン蛋白質と結合し、プロタミンとDNAので形成されるクロマチン形成に作用していることが明らかとなり、遺伝子が欠失することにより雄性不妊になることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)