2005 Fiscal Year Annual Research Report
内臓脂肪蓄積による生体防御機能破綻を基盤とした消化器病態と分子機構の解明
Project/Area Number |
16046202
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
河田 純男 山形大学, 医学部, 教授 (90183285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 信司 大阪大学, 大学院・医学研究科, 講師 (30243223)
富樫 整 山形大学, 医学部, 助教授 (60192209)
武田 弘明 山形大学, 医学部, 助教授 (90236480)
斉藤 貴史 山形大学, 医学部, 講師 (80250918)
斉藤 孝治 山形大学, 医学部, 講師 (90250919)
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Keywords | NASH / 大腸がん / 大腸腺腫 / 内臓脂肪 / adiponectin / インスリン抵抗性 / 大腸がん予防 |
Research Abstract |
本研究では内臓脂肪蓄積による生体防御能破綻と消化器病態、とくに非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と大腸腺腫発症の関連を明らかにし、その分子機構の解明を目指している。 (方法)(1)多数例の解析により、内臓脂肪蓄積および血漿adiponectin減少とNASHおよび大腸腺腫の関連を明らかにする。(2)肥満ラット(fa/fa)に高脂肪食を与え、脂肪肝およびメタボリックシンドロームを発症させる。このモデル動物における肝および大腸粘膜での遺伝子発現の動態をDNA microacarray(約3万遺伝子)を用いて解析する。 (期待される成果)(1)低adiponectin血症と肝における脂肪蓄積および炎症発生のメカニズムを明らかにする。(2)低adiponectin血症と大腸粘膜上皮の増殖・形質転換の関連性が明らかになる。生活習慣病であるNASHや大腸がんの発症機構が明らかになることに加えて、内臓脂肪蓄積による生体防御機能破綻が全身の炎症・がん化の分子機構を解明するための普遍的概念であることを確立するために役立ち、さらにはadipomics全体の理解に資する。 (現在までの成果の概要) 1)51例の大腸腺腫症例(40歳以上)と52例の対照症例(40歳以上で下部消化管内視鏡検査にて腺腫、がんの存在を否定された)について、内臓脂肪面積および血漿adiponectin値、インスリン抵抗性の一指標であるHOMA-IRを測定し、比較検討した。多変量解析により、内臓脂肪面積は腺腫群で有意に増加(odds ratio 2.19; 95% CI 1.47-3.28)し、adiponectin値は有意に低下(odds ratio 0.24; 95% CI O.14-0.41)していた。また、HOMA-IRも大腸腺腫と関連性を示した(odds ratio 2.60; 95% CI 1.20-5.64)。 2)メタボリックシンドロームモデルラットの肝では増殖因子、そのシグナル伝達因子および脂肪酸代謝酵素をコードする遺伝子、線維化関連遺伝子、鉄代謝にかかわる遺伝子などが発現増加していた。また、インスリンシグナル伝達にかかわる遣伝子、PPAR-α遺伝子などの発現が減少していた。 大腸粘膜ではp53やTGF-βII型受容体の遺伝子発現が減少していた。このことはメタボリックシンドロームにおける大腸粘膜には発がんポテンシャルの亢進があることを示唆している。
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Research Products
(6 results)