2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規脂肪細胞分化調節因子低分子量G蛋白質の解析と生理学的意義の解明
Project/Area Number |
16046217
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
柱本 満 愛媛大学, 医学部附属病院, 助手 (40346680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 亙 愛媛大学, 医学部附属病院, 助手 (80271089)
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Keywords | 脂肪分化 / GTP結合蛋白質(G蛋白) / PPARγ / チアゾリジン誘導体 |
Research Abstract |
最近我々は単量体GTP結合蛋白質familyに属する遺伝子が、脂肪細胞分化調節機構に関与していることを見出した(以後本蛋白をGP2とする)。 我々はまずGP2及びそのisotypeであるGP1のcDNAを用いて持続活性型(CA)及び優位阻害型(DN)変異体を作成し、これらをレトロウィルス発現系を用いて3T3-L1線維芽細胞に発現後、insulin/dexamethasone/IBMXの存在下に分化誘導を行った。その結果GP1の野生型及び両変異体あるいはGP2の野生型及びCA変異体の発現細胞では、分化後期にかけて中性脂肪滴の蓄積を確認したが、DN GP2発現細胞では分化誘導10日後も全く中性脂肪滴の蓄積を認めなかった。 次にDN GP2発現3T3-L1細胞及び発現ベクターのみを発現させた3T3-L1細胞を同様に分化誘導し、脂肪分化過程の各段階で抽出したRNAを用いて、real time PCR法により様々な遺伝子の発現様式を検討した。その結果、DN GP2発現3T3-L1細胞では、成熟脂肪細胞のマーカー蛋白群の発現は分化の全過程を通じて高度に阻害されていた。またPPARγ2及びc/EBPαの発現も高度に阻害されていたが、c/EBPβ及びδの発現には影響が見られなかった。 次に我々は、PPARγを発現させたNIH-3T3線維芽細胞(NIH-3T3/PPARγ)を作成した。この細胞はinsulin/dexamethasone/IBMXに加えてチアゾリジン誘導体を添加して分化誘導を行った場合に、成熟脂肪細胞へと分化を示すが、同線維芽細胞にDN GP2を発現させてチアゾリジン誘導体の存在下に分化誘導を行った場合には、脂肪分化は障害を受けないことが示された。 以上の結果より、GP2が転写因子のネットワーク特にPPARγと相互作用することによって脂肪細胞の分化調節に関与していることが示唆された。
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