2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規脂肪細胞分化調節因子低分子量G蛋白質の解析と生理学的意義の解明
Project/Area Number |
16046217
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
柱本 満 愛媛大学, 医学部附属病院, 助手 (40346680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 亙 愛媛大学, 医学部附属病院, 助手 (80271089)
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Keywords | 脂肪分化 / GTP結合蛋白質(G蛋白) / PPARγ / チアゾリジン誘導体 |
Research Abstract |
我々は単量体GTP結合蛋白質familyに属する遺伝子guanylate binding protein(GBP)-2が脂肪細胞分化機構の早期に働く新しい分子であることを見出し、その分子機構についての検討した。 正常3T3-L1細胞でのGBP-2の発現は、線維芽細胞の段階では極少〜皆無であるが分化中期から漸増し成熟脂肪細胞に至って高度にupregulateされることをreal time PCR法などにより確認した。次に、GBP-2蛋白及びそのisotypeであるGBP-1蛋白のcDNAを用いて作成した持続活性型(CA)及び優位阻害型(DN)変異体をレトロウィルス発現系を用いて3T3-L1線維芽細胞に発現後、insulin/dexamethasone/IBMXにより分化誘導を行った。GBP-1の野生型及び両変異体あるいはGBP-2の野生型及びCA変異体の発現細胞では、分化後期にかけて中性脂肪滴の蓄積を確認したが、DNGBP-2発現細胞では分化誘導10日後も全く中性脂肪滴の蓄積を認めなかった。DN GBP-2発現3T3-L1細胞では、成熟脂肪細胞のマーカー蛋白群(aP2、adiponectin、GLUT4他)の発現は分化の全過程を通じて高度に阻害されており、PPARγ2及びc/EBPαの発現も高度に阻害されていたが、c/EBPβ及びδの発現には影響を認めなかった。以上より、3T3-L1線維芽細胞へのDN GBP-2発現が何らかの機転でPPARγ2の発現を阻害し、その後の脂肪分化方向へのドライブを障害するため、正常な脂肪細胞分化が消失するものと考えられた。この仮定を確認するために、PPARγを発現させたNIH-3T3線維芽細胞(NIH-3T3/PPARγ)を作成した。この細胞はinsulin/dexamethasone/IBMXに加えてチアソリジン誘導体を添加して分化誘導を行った場合に、成熟脂肪細胞へと分化を示す。NIH-3T3/PPARγ線維芽細胞にDN GBP-2を発現させてチアソリジン誘導体の存在下に分化誘導すると、脂肪分化は障害されなかった。すなわちDN GBP-2発現に先立つPPARγの発現によって、脂肪分化能が回復できることが確認された。またDN GBP-2をPC12細胞に発現させ、nerve growth factor(NGF)の存在下に分化誘導した場合神経突起の成長は認められず、DN GBP-2の分化抑制効果は間葉系もしくは脂肪細胞の系統に特異的である可能性が示唆された。 以上より、GBP-2が転写因子のネットワーク特にPPARγと相互作用することによって、脂肪細胞方向への分化調節に特異的に関与していることを示した。
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