2004 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞におけるインスリン作用伝達分子の発現調節と生体機能制御における意義
Project/Area Number |
16046219
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
荒木 栄一 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (10253733)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊永 哲至 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (60295128)
西川 武志 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (70336212)
|
Keywords | 脂肪細胞 / インスリン / IRS-1 / インスリン受容体 / AICAR |
Research Abstract |
細胞内インスリンシグナルの開始点に位置するインスリン受容体(IR)やインスリン受容体基質(IRS)の発現量は、インスリンシグナルの強弱を規定しうる。本研究は脂肪細胞におけるインスリン作用伝達分子の発現調節機構と、生体レベルでの糖代謝制御に及ぼす影響について解明を目指すものである。 我々はAMP-activated protein kinase(AMPK)活性化剤AICAR(5-aminoimidasole-4-carboxamide-1-b-D-ribofuranoside)によるIR発現制御について、3T3-L1脂肪細胞とHepG2肝細胞を用いて比較検討した。HepG2細胞ではIR蛋白、mRNA発現、IR遺伝子の転写活性はAICAR濃度依存性に減少した。一方、3T3-L1脂肪細胞では、AMPK刺激によりHepG2細胞と同等のAMPK活性化は生じるが、IR発現は減少しない。両細胞間での発現制御の解離は、IRS-2発現制御でもみられる。肝細胞ではインスリン刺激により、IRS-2遺伝子転写が抑制され、IRS-2発現が減少するが、3T3-L1脂肪細胞においてはインスリンはIRS-2発現に影響を与えない。我々はヒトIR遺伝子プロモーター上に5つのinsulin response element(IRE)様配列を同定し、またIREとある核蛋白との結合がAICARにより減弱することを見いだした。興味深いことにインスリンによるIRS-2遺伝子転写抑制もIREを介する。このことからIREを介する制御が分子の組織特異的発現調節に関与することが示唆される。 一方、IRS発現レベルが生体の糖、脂質代謝に及ぼす影響を解析するため、IRS-1トランスジェニック(IRS-1Tg)マウスを作成した。導入遺伝子はヒトIRS-1cDNAをマウスIRS-1遺伝子プロモーター制御下に発現する様デザインした。外来性IRS-1の発現はRT-PCRおよびウエスタンブロット法で行った。IRS-I1gマウスの出生児体重は野生型マウスと差はなく、通常食摂餌下の体重変化も野生型マウスと21週令まで差は認めない。IRS-1Tgマウスの耐糖能、インスリン作用ならびに脂肪組織の機能について現在解析を行っている。
|
Research Products
(5 results)