2004 Fiscal Year Annual Research Report
アディポサイトカインによる脂肪細胞の容積制御機構と糖質・脂質代謝制御の解析
Project/Area Number |
16046222
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
高橋 信之 生理学研究所, 細胞器官研究系, 助手 (50370135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 泰伸 生理学研究所, 細胞器官研究系, 教授 (10025661)
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Keywords | 分子生理 / 細胞生理 / 細胞機能 / 細胞内情報伝達 / 病態栄養学 |
Research Abstract |
脂肪細胞における細胞容積と糖質・脂質代謝との連関、ならびに、容積感受性Cl^-チャネル(VSORクロライドチャネル)の細胞内代謝に対する影響を検討するため、以下のような実験を行い、いくつかの結論を得た。まず、分化した3T3-L1脂肪細胞を低浸透圧条件にさらすと、VSORクロライドチャネル由来のクロライド電流が、電気生理学的な実験(パッチクランプ)によって検出された。またこの低浸透圧条件により3T3-L1脂肪細胞は、その容積を増大させるが、数分後、増大した容積は元の容積に次第に戻っていった(この現象をRVDと呼ぶ)。このRVDは、VSORクロライドチャネルに対するブロッカー(DIDS、NPPB、グリベンクラミド)で有意に抑制された。このことから、3T3-L1脂肪細胞において、VSORクロライドチャネルが発現し、機能しうると考えられる。興味深いことに、低浸透圧により3T3-L1脂肪細胞が容積を増大させている数分間の間、その容積増大は3T3-L1脂肪細胞への基底レベルのグルコース取込を促進させた。 結論として、VSORクロライドチャネルは3T3-L1脂肪細胞に機能的に発現しており、容積制御機構に関与していることが明らかとなった。一方、低浸透圧刺激による細胞容積の増大は、グルコースの基底レベルでの取込を促進することも示された。今後、インスリン刺激における細胞容積変化、その変化に対するVSORクロライドチャネルの応答など、詳細に検討していく予定である。
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