2004 Fiscal Year Annual Research Report
グリアを標的とした神経変性疾患に対する新しい治療法の開発
Project/Area Number |
16047207
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
原田 高幸 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (90345306)
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Keywords | 眼科学 / 神経再生 / グリア / 発生・分化 / 神経変性疾患 / 神経栄養因子 / 神経細胞死 / 網膜 |
Research Abstract |
現在世界中で約4000万人ともいわれる人々が網膜疾患による視機能障害に苦しんでいる。このうち特定疾患に指定されている網膜色素変性症の本態は、視細胞のアポトーシスであることがわかっている。以前我々は眼球内に投与された神経栄養因子が視細胞死を抑制する際、その作用の一部が網膜の特殊なグリアであるMuller細胞を介した間接作用であることを見い出した(Neuron,2000)。またこの発見により変性の主座となる視細胞そのものではなく、グリア-神経間のネットワークをターゲットとした新しい治療法に期待が持たれることとなった(J Neurosci,2002)。本年度はこうした我々の研究が日本眼科学会学術奨励賞を受賞し、その総説を日本眼科学会雑誌で発表した。 また一連の研究を発展させた本課題では、Muller細胞特異的に神経栄養因子の受容体を欠損させたマウスを作成して、その発生過程を検討した。完全欠失型のノックアウトマウスでは視細胞の発生に遅延が見られるとの報告があるが、我々のマウスではそうした異常は認められなかった。次にこのノックアウトマウスを網膜色素変性症のモデル動物と交配させ、視細胞変性の進行に与える影響を観察した。通常の視細胞変性マウスでは生後3週目までにほとんどの視細胞が死滅する。しかし我々のマウスと交配したモデルでは視細胞変性の始まる時期や病期の進行に変化がある可能性が考えられた。今後はグリアでの変化が視細胞の生死に与える影響について、検討を続ける予定である。 さらに今年度は神経栄養因子を投与した変性網膜において、Muller細胞が神経前駆細胞のマーカーを発現することを確認できた。グリアを用いた神経再生療法の構築に向けて、前出のノックアウトマウスを対照に用いることなどにより、こうした現象のメカニズムを探っていく予定である。
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Research Products
(12 results)