2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経グリア間におけるニューロトロフィン遺伝子発現応答ネットワークの解析
Project/Area Number |
16047209
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
津田 正明 富山大学, 薬学部, 教授 (80132736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田渕 明子 富山大学, 薬学部, 助教授 (40303234)
安田 誠 富山大学, 薬学部, 助手 (00361965)
川原 正博 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (40224828)
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Keywords | BDNF / GDNF / ニューロン / アストログリア / TrkB-T1 / GFRα1 / カルシウム / アストログリア細胞株 |
Research Abstract |
本年度は、能由来神経栄養因子(BDNF)が、ニューロンやアストログリア細胞に与える影響を、遺伝子発現レベルに焦点を当てて解析した。 1.GDNF(glial cell-derived neurotrophic factor)特異的レセプターの発現誘導;ラット大脳皮質初代培養系にBDNFを加えると、ニューロンにおいて、GDNF特異的レセプターGFRα1とRETのmRNA発現が増加した。特に、GFRα1mRNAの発現増加は顕著で、Geneチップによる解析でも認められた。 2.BDNF特異的レセプターTrkB mRNAの発現;完全長型TrkB mRNAの発現は、ニューロンにおいてアストログリアにおけるよりも約30倍以上の発現が認められたが、断片型TrkB-T1レセプターmRNAはニューロンとアストルグリアに同程度認められた。 3.アストログリア細胞株の樹立とBDNFの与える影響(本大学生命科学先端研究センター;高崎一朗博士との共同研究);ラット大脳皮質初代培養系から、温度感受性(ts)SV40L-antigen遺伝子を導入して、一連のアストログリア様株を樹立した。39℃では形態変化を示し、TrkB-T1mRNAの発現上昇が認められた。しかし、BDNFを加えても、遺伝子発現レベルへの影響は認められなかった。 4.ATPの影響;アストログリアでは、ATPによって細胞内カルシウム(Ca^<2+>)濃度上昇が認められる。BDNFを加えても上昇は認められなかったが、ATPを1mM加えた所、Ca^<2+>濃度上昇が顕著に認められた。また、c-fos遺伝子発現も誘導された。 今後、ATPによるBDNF,GDNF遺伝子発現への影響を調べる。すでに、ニューロン、アストログリア、血管内皮細胞間でATPによる情報伝達が行われていることが指摘されている。BDNF,GDNFの誘導は、特に血管の影響がアストログリアを介してニューロンに伝わる可能性を示すものとして興味深い。
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Research Products
(6 results)