2004 Fiscal Year Annual Research Report
膜型プロテアーゼメルトリンβ(ADAM19)による神経-グリア間相互作用の制御
Project/Area Number |
16047217
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
瀬原 淳子 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (60209038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗崎 知浩 京都大学, 再生医科学研究所, 助手 (90311422)
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Keywords | ADAM / グリア細胞 / ノックアウトマウス / メタロプロテアーゼ / 増殖因子 |
Research Abstract |
神経組織の形成において、神経は自らをサポートしてくれるグリア細胞を生み出す。そして分化したグリア細胞は、神経と接触して存在し、神経突起からの維持刺激がなければ死んでしまう。このような神経において合成され、グリアの分化と維持に必要なグリア増殖因子は、その多くが膜貫通型タンパク質として合成され、膜直上の位置で切断されて、可溶性分子として細胞外に放出される。私たちは、形態形成の研究のなかでADAMファミリーに属する膜型プロテアーゼメルトリンα、β、γの遺伝子クローニングに成功し、その形態形成における役割と機能を探ってきた。そのうち、メルトリンβ(ADAM19)が、神経や心臓の形成に関与する膜型ErbBリガンドであるグリア増殖因子の切断活性化を担うこと、ノックアウトマウス作成によりメルトリンβが心臓形成や神経の束索化にかかわり、protein kinase C依存的なグリア増殖因子の切断活性化にかかわることなどを明らかにしてきた。 大部分のメルトリンβ欠損マウスは、生後1週間以内に死んでしまうが、一部が成体まで生き延びる。そこで、メルトリンβノックアウトマウスを用いて、メルトリンβが神経組織の再生に関わるかどうかを検討した。その結果、メルトリンβが神経再生にともなって発現活性化されること、そしてノックアウトマウスでは神経再生が遅れることを見いだした。グリア増殖因子は、成体においても神経組織の維持にかかわっていることが報告されている。このことから、この表現型は、メルトリンβプロテアーゼによるグリア増殖因子あるいは類似因子の切断制御の破綻によってもたらされるものと考えられる。
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