2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞産生を調節する神経細胞と非神経細胞間のクロストーク
Project/Area Number |
16047218
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
玉巻 伸章 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (20155253)
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Keywords | 樹状突起 / MAP2 / スプライシングバリアント / 可塑性 |
Research Abstract |
脊椎動物の成体の大脳皮質で、神経細胞の産生の中心は脳室下帯にあるとされている。そして脳室下帯に見られる前駆細胞がGFAP陽性であることから、グリアが神経細胞を生み出すということになっている。しかし、脳室下帯に見られる細胞の全てがGFAP陽性であるわけでない。GABA神経細胞の細胞系譜をウイルスで追跡していると、一部は出産後にGFAP陰性GABA陽性の細胞として脳室下帯に生着することが明らかとなった。このGABA陽性の脳室下帯細胞は、胎児期に脳室下帯で盛んに増殖してGABA神経細胞を生み出していたGABA神経細胞前駆細胞が残存したものと考ええられる。大脳皮質の錐体細胞も、その細胞系譜を、ウイルスを使って追跡すると、`神経幹細胞である放射状グリアから直接生み出される場合と、放射状グリアから生み出された中間的な前駆細胞が、脳室下帯で対称、非対称分裂を盛んに繰り返して増殖し、錐体細胞の産生数を増幅していることも明らかにした。錐体細胞の場合もGABA神経細胞の場合と同様に、脳室下帯の前駆細胞は生後まで残存し、そのまま生着すると考えられる。このような観察結果から、脳室下帯に見られる細胞には3種類に分けられる可能性がある。神経幹細胞がそのまま残存して脳室下帯に生着した神経幹細胞と、GABA神経前駆細胞、錐体細胞前駆細胞の3種類である。
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