2004 Fiscal Year Annual Research Report
放射状グリア-ニューロン間のクロストークと大脳皮質形成
Project/Area Number |
16047220
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
星野 幹雄 京都大学, 医学研究科, 助手 (70301273)
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Keywords | 放射状グリア / 神経細胞移動 / 子宮内エレクトロポレーション / Rac / JNK / 微小管 / MAP1B / cdk5 |
Research Abstract |
大脳皮質を形成する神経細胞の多くは、興奮性のグルタミン作動性ニューロンと抑制性のGABA作動性ニューロンである。前者は、終脳背側(大脳皮質)の脳室帯から生まれて、放射状に神経細胞移動を行い、皮質版へと到達するが、この移動過程は(一部のそうではない様式も報告されてはいるが)放射状グリアにガイドされた細胞移動であることが知られている。それに対して、GABA作動性神経細胞は終脳腹側の大脳基底核原基から誕生し、接線方向へ移動することによって、大脳皮質へと到達する。この移動は放射状グリアと垂直方向であり、放射状グリア-ニューロン間の相互作用が無い様式であると考えられている。 我々は新規小脳突然変異(成体で、小脳皮質を完全欠失しているので、小脳失調症状を呈する)の原因遺伝子を特定し、解析したところ、その原因遺伝子が小脳でのグルタミン酸vs GABA作動性ニューロンの選択において、GABA作動性ニューロンの誕生を司っていることが示唆された。驚くべき事に、子宮内エレクトロポレーション法を用いてその遺伝子を大脳皮質脳室帯細胞に異所性に導入すると、そこからGABA陽性のニューロンが生み出されるだけでなく、それらのニューロンが接線方向へと移動する性質を持つ事がわかった。すなわち、一つの遺伝子発現によって、神経細胞の移動様式が放射状グリアと相互作用するものからしないものへと変化した訳で、この現象をより詳細に調べて行けば、放射状グリア-ニューロン間のクロストークの有無を決める分子機構に迫れるのではないかと期待している。
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