2005 Fiscal Year Annual Research Report
放射状グリア-ニューロン間のクロストークと大脳皮質形成
Project/Area Number |
16047220
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
星野 幹雄 京都大学, 医学研究科, 助手 (70301273)
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Keywords | 放射状グリア / Cdk5 / コフィリン / アクチン / BDNF / bHLH / EGF / P-Rex1 |
Research Abstract |
大脳皮質脳室帯に存在する放射状グリアの非対称分裂によって生み出された神経細胞は、細胞分裂を停止すると同時に軟膜側へと細胞移動を開始し、多くのものは放射状グリアにガイドされて皮質板へと辿り着く。かように、神経細胞-放射状グリア間の様々な関わり合いが、大脳皮質の形成過程で大きな役割を果たしていると考えられているが、その分子的な実体については未だ良くわかっていない。今年度の研究において、我々は細胞分裂を行う放射状グリアから生み出された神経細胞が分裂を停止するのに必要とされるp27が、その後の神経細胞移動においてもCdk5-P27-cofilin-actin経路の構成要素として働いていることを見いだした(Nature Cell.Biol. 2006)。また、神経細胞が放射状グリアに沿って軟膜側へとBDNFやEGFに誘引されて移動する過程で、P-Rex1-Rac1シグナル伝達経路が関与しているということも示唆された(J.Neurosci. 25,2005)。さらに神経細胞が放射状グリア親和性移動と非親和性移動を選択する過程で、bHLH型の転写因子が関与している可能性についての知見も得た(Neuron 2005)。これらの研究成果を活かして、放射状グリア-神経細胞間の密接な相互作用と神経系発生における役割について、今後さらに調べていきたい。
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