2004 Fiscal Year Annual Research Report
海馬シナプス前終末に発現するイオンチャンネル型ATP受容体の作用機構
Project/Area Number |
16047221
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
神谷 温之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10194979)
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Keywords | 海馬 / シナプス伝達 / カルシウム / カルシウムイオン |
Research Abstract |
神経系における情報伝達を調節するATP受容体には、イオンチャンネル型および代謝型受容体が存在し、ニューロンとグリアのさまざまな細胞機能を制御する。このうち、ATP受容体活性化によるシナプス前部での伝達物質放出の制御機構については不明な点が多い。そこで本研究では、これまでの免疫組織化学的研究によりイオンチャンネル型ATP受容体であるP2X_7受容体が特異的に発現することが明らかとなった海馬CA3野苔状線維シナプスにおいて、P2X_7受容体アゴニストであるBz-ATPがシナプス伝達に及ぼす影響をスライス標本を用いて電気生理学的に調べた。Bz-ATPの灌流投与によりEPSPは抑制され、この作用はほぼ可逆的であった。しかしながら、Bz-ATPの効果は投与開始後比較的緩除に進行し、またイオンチャンネル型受容体活性化を介する作用機序から予想される一過性の増強効果がみられないなど、解釈が困難な点があった。すなわち、Bz-ATPがシナプス前終末に発現するP2X_7受容体に直接的に作用したのか、あるいは、グリアあるいは抑制性介在ニューロンのP2X_7受容体に作用し、これが何らかの物質(グルタミン酸、GABA、アデノシンなど)を放出し、苔状線維シナプス前終末に発現することが知られる種々の代謝型受容体(代謝型グルタミン酸受容体、GABA_B受容体、A_1、受容体など)を活性化して間接的に作用したのか、の両者の可能性が考えられた。そこで、この点について解析を進めるために、これらの代謝型受容体阻害剤の存在下でBz-ATPによる苔状線維シナプス伝達抑制作用が見られるかについて検討を進める。
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Research Products
(2 results)