2005 Fiscal Year Annual Research Report
ミクログリア亜種が示す異なった神経保護作用:起源:分子機構解明と疾患治療への応用
Project/Area Number |
16047224
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中山 仁 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (70088863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國安 明彦 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 助教授 (90241348)
川原 浩一 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 助手 (10347015)
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Keywords | ミクログリア サブタイプ / 神経保護作用 / アルツハイマー病 / Aβクリアランス / 単クローン抗体 |
Research Abstract |
脳機能の本質的理解には「グリアーニューロン回路網」の認識が不可欠であるが、その中でも我々はミクログリア(μG)の役割に注目する。従来、μGは脳炎症時に活性化され、proinflammatryに作用すると捉えられがちであったが、最近の我々の知見から、[i]神経傷害的か保護的となるかは条件によって異なること、[ii]その作用の違いには、少なくとも2群に分けられるμG亜集団(サブタイプ)が深く関わっていることが分かってきた。これをふまえ、本研究ではサブタイプの適切な活性化によって、μGの神経細胞保護機能を最大限に活用する方策を見い出すべく取り組んだ。本年度得られた成果を以下に述べる。 1.IL-4誘導性新規Aβクリアランス機能のin vivoでの検証:IL-4によりtype-2μGが、毒性の高いAβオリゴマーを選択的に取り込む現象を見出したことは昨年報告したが、本年度はADモデル動物の一つAPP23マウスを用いて、in vivoでの検証を行った。その結果、サイトカインの脳内微量注入によって記憶学習能(モリス水迷路試験)の改善が認められたAPP23マウスでは、Aβの脳内蓄積の減少と相関することがわかった。また、ある種の薬物にはこのAβクリアランス能を誘導できることも判明した。この成果は、新規メカニズムに基づくAD治療薬開発の可能性を強く示唆するもので、今後これを推進する。 2.Type-1,2μGを識別する単クローン抗体の作製と認識分子:初代培養type-1およびtype-2μGや刺激活性化したμGを用いて免疫した結果、type-1とtype-2μGを識別できる単クローン抗体KM9F5が作製できた。本抗体は、従来のμG認識抗体とは異なり、マクロファージとはほとんど反応せず、またμGの一部とのみ反応するというユニークな認識能を有していた(特許出願中)。
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Research Products
(4 results)