2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16047230
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
佐竹 伸一郎 生理学研究所, 生体情報研究系, 助手 (30360340)
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Keywords | 小脳 / グルタミン酸 / GABA / プルキンエ細胞 / 籠細胞 / バーグマングリア / 電気生理学 / 拡散 |
Research Abstract |
下オリーブ核から小脳への登上線維を反復刺激すると,籠細胞-プルキンエ細胞間のGABA作動性シナプス伝達が抑制される(即ち,脱抑制)。この異種シナプス抑制は,籠細胞終末のカルシウム非透過性AMPA型グルタミン酸受容体で仲介されるシナプス前抑制の様式で起こることを示唆する結果を得た。脳スライス-パッチクランプ法を用いて,登上線維の伝達物質が籠細胞のAMPA受容体を活性化する過程を検討した。低親和性-グルタミン酸受容体競合阻害薬γ-DGGは,登上線維-プルキンエ細胞シナプスの興奮性シナプス後電流よりも,登上線維刺激に伴う脱抑制を強く阻害した。低親和性拮抗薬は,高濃度のグルタミン酸で誘発されるシナプス伝達には阻害作用が弱く,拡散のように低濃度グルタミン酸で仲介される過程に対して強い阻害作用を示したと考えた。また,dextranで灌流液の粘性を高めて拡散を阻害すると,脱抑制も有意に減弱した。以上の結果から,登上線維の興奮性伝達物質は,シナプス間隙から拡散して,籠細胞終末のAMPA受容体を活性化できると結論した。一方,グルタミン酸回収タンパク質阻害薬TBOAは,脱抑制を有意に増強した。登上線維と籠細胞の間で見られる異種シナプス抑制は,グリア細胞のグルタミン酸回収機構によって常に阻害されているものの,登上線維から大量に放出された伝達物質は,回収機構の能力を超えて籠細胞のAMPA受容体を活性化できることが示唆された。
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