2005 Fiscal Year Annual Research Report
BMP受容体シグナリングを介した小脳プルキンエ細胞のグリア細胞機能制御
Project/Area Number |
16047231
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山田 真久 独立行政法人理化学研究所, 山田研究ユニット, ユニットリーダー (60321832)
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Keywords | BMP / アストロサイト / グリア瘢痕 / autocrine |
Research Abstract |
小脳のプルキンエ細胞のシナプスは、周囲をアストロサイトの突起に囲まれ、両者の間には神経伝達物質を介して相互に機能を強化するシステムの存在が知られている。プルキンエ細胞は生後も増殖因子であるbone morphologic protein (BMP)を発現し、またシナプス周囲のアストロサイトはBMP受容体を発現しているが、両者の間でのBMPシグナリングが神経伝達ネットワークにどのような役割を果たしているかは未知であった。BMPシグナルは、神経突起伸長やアストロサイトの細胞運命の決定および増殖に関与することが知られている。しかし、神経ネットワーク完成後におけるBMPシグナリングの役割は分かっていない。我々は、神経損傷時にBMPシグナルがグリア瘢痕形成の一因となることを示した。BMPによる増殖シグナルがアストロサイト自身に対して、autocrineまたはpracrine経路を介して働くこと、さらにBMP受容体遺伝子type IA遺伝子を欠損またはノックダウンすることによりグリア瘢痕形成を小さくすることが可能であることを示した。本研究で我々は、さらに神経回路網におけるBMPシグナルの役割を明らかにする為に神経回路形成後にNG2陽性グリア細胞、バーグマングリアなどのグリア細胞でBMPシグナルが活性化されるように遺伝子を改変したマウスを作製した。遺伝子改変マウスは、S100-betaプロモーター下でCreリコンビナーゼを発現することにより、Cre/loxP組み換えを起こす。この遺伝子組換えにともないグリア系細胞特異的にBMPシグナルが恒常的に活性化されるマウスを作出したことを確認した。
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