2004 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体膜近傍の微小環境による、細胞内カルシウム放出チャネルの活性制御メカニズム
Project/Area Number |
16048204
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
服部 光治 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (60272481)
|
Keywords | カルシウム / 受容体 / チャネル蛋白質 / レドックス / 小胞体 |
Research Abstract |
細胞質におけるカルシウム濃度は百種類以上の蛋白質分子の活性制御機構に関与しており、その時間的・空間的制御は細胞機能に必須である。イノシトール1,4,5三リン酸(IP3)受容体は小胞体からのカルシウム放出を担う主要なチャネル蛋白質である。IP3受容体が細胞質側から様々な制御を受けていることは良く知られているが、小胞体内腔側からも制御されているか否かは、その機構が不明なことから長い間論争となってきた。我々は生化学的手法によってIP3受容体の小胞体内腔側ループに結合する蛋白質ERp44を同定した。我々はまず、免疫沈降実験やリコンビナント蛋白質を用いた結合実験を詳細に行い、以下のことを見いだした。(1)ERp44はIP3受容体タイプ1のL3V領域に結合するが、タイプ2やタイプ3には結合しない。(2)ERp44とIP3受容体間の結合は、酸化条件下では非常に弱く、還元条件下で強い。(3)両者の結合はpHが低いほうが強くなる。(4)両者の結合はカルシウム濃度が100μMを超えると徐々に弱くなる。(4)ERp44のチオレドキシン様領域は結合にほとんど関与しない。以上の結果から、ERp44とIP3受容体タイプ1の結合は安定的なものというよりは、細胞の状態・環境に応じて変化するものであることが強く示唆された。また、カルシウムイメージング実験及び人工脂質二重膜に埋め込んだIP3受容体タイプ1を用いた電気生理学的実験から、ERp44は小胞体内腔のレドックス状態・カルシウム濃度・pH変化に依存してIP3受容体の活性を制御していることが示唆された。これは小胞体内腔からのIP3受容体の機能調節機構を明確に示した最初の例であると考えられる。
|
Research Products
(6 results)