2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16068101
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
木村 實 玉川大学, 脳科学研究所, 教授 (40118451)
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Keywords | 認知と記憶 / 行動と運動 / 情動 / 思考・推論 / 言語 / 脳の作動原理 |
Research Abstract |
中核となる5つの研究項目において高い成果を得た。情報認知においては、物体の形、色、奥行きなどの特徴を抽出する神経回路メカニズムと分子的基盤を網膜、視床、大脳皮質視覚領・側頭葉の神経回路と機能モジュールにおいて明らかにする知見、物体のカテゴリー、注意や輝度による判断の大脳皮質側頭葉の情報処理原理について高水準の知見が得られた。行動と運動においては、運動の企画と制御、ゴール指向的行動とその障害における大脳皮質前頭葉と小脳の役割について、感覚情報処理から運動の企画に関わる脊髄、視床、大脳基底核、大脳皮質メカニズムの理解について顕著な成果が得られた。情動においては、大脳基底核、視床、大脳皮質、脳幹における報酬価値、動機づけの表現、行動選択への関与の様式、情動に関わる神経ペプチドの作用の理解が格段に進歩した。大脳による高次情報処理においては、思考、推論、意志決定の神経機構、認知表象の脳内再構成の神経機構などの過程、複雑問題解決プロセス、直感的思考、帰納的推論、意思決定や行動選択、ルール表象の成立、認知表象の脳内再構成の理解に繋がる顕著な成果が得られた。言語では、人間の大脳皮質における「文法中枢」の存在の証明、「文法・文章理解・単語・音韻」を言語野の機能分化に対応させた大脳皮質における新しい「言語地図」を提案するなどの成果が得られた。これらの高い成果は、Nature,Scienceをはじめとするトップジャーナルに報告され、この分野の研究に強いインパクトを与えると共に、神経難病の病因や治療法について科学的な根拠を提供した。これらの成果については中間評価ヒアリングや進捗状況報告書において文部科学省に報告してきたところであるが、22年度においてこの成果をとりまとめ、350ページの成果とりまとめ冊子として作成し、領域内・外に幅広く公表、公開した。
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Research Products
(10 results)