2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16072204
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩澤 康裕 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40018015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 昌治 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (70156230)
佐々木 岳彦 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (90242099)
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Keywords | 時間分解構造解析 / DXAFS / 可視光反応 / TiO2 / セリア-ジルコニア固溶体 / ヒドロホルミル化 / 走査トンネル顕微鏡 / 光触媒 |
Research Abstract |
本研究は固体表面における化学反応、中でも触媒反応を、時間的空間的に制御しながら、反応における原子・分子のダイナミクスを分子構造的、電子論的に解明することを目的とする。そのような目的のためには極限まで高めた均質で高活性な表面構造の構築と時間軸空間軸を基軸に据えた表面反応解析法・分光法の開発が必要不可欠である。 そこで本研究では、表面上の分子の空間的情報を与える手法の中で最も優れた時間分解能を持つエネルギー分散型X線吸収微細構造(DXAFS)測定システムを開発してきた。 本年度は、これまで100ミリ秒ほどの時間分解能を有するこの手法を改良、そしてPhoton Factory Advanced Ring(高エネルギー加速器研究機構,筑波)に設置することにより、2ミリ秒ほどの時間分解構造解析を可能にした。そしてこれを用いてロジウムダイマー固定化触媒のヒドロホルミル化触媒作用中の活性構造変化を追跡し、構造変化と触媒機能の相関を明らかにした。また自動車排ガス浄化触媒であるCeO_2-ZrO_2固溶体の酸素吸蔵/放出過程における動的構造変化を明らかにした。 一方、原子・分子に関して高い空間的情報を得るためには、走査プローブ顕微鏡観察が最も有効である。本研究では機能性物質として広範に使用されているTiO_2の(001)表面上の特殊な構造上にギ酸を吸着させ、吸着種が可視光照射によって分解されることを走査トンネル顕微鏡による原子分子レベルの実空間観察によって見いだした。 TiO_2のバンドギャップは可視光のエネルギーよりも大きいため、これまでTiO_2の表面上での可視光反応の報告はなかった。今回の事実は、特殊な表面の表面状態を介してギャップより小さな光で反応が進行したものと解釈される。
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