2006 Fiscal Year Annual Research Report
オージェ電子プローブ時間分解表面XAFSと表面ダイナミクス研究
Project/Area Number |
16072205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 寛 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (80302800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雨宮 健太 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教授 (80313196)
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Keywords | 時間分解 / XAFS / 表面ダイナミクス / 反応キネティクス / 反応メカニズム |
Research Abstract |
本課題は最近開発したオージェ電子プローブエネルギー分散型表面XAFS法を高度化し、表面反応などの動的表面過程の研究を行うことを目的としている。これまで、我々の手法によって、Pt(111)上の水の生成反応において、H_2OとOHの共吸着層におけるプロトン移動がreaction frontに効果的に反応種であるH_2Oを供給するうえで重要な役割を果たしている可能性が高いことを見いだしている。このプロトン移動は、反射型赤外吸収分光やDFT計算から示唆されているものの、本当にプロトン移動によって物質移動を誘起しているかどうかは明確になっていない。また、仮にプロトン移動が起こっているとしても、その移動速度については全く分かっていない。そこで、レーザー脱離法による局所脱離とH_2Oのドーズによる再吸着によって、H_2O+OH共吸着層の中に数百μmオーダーの幅のH_2O吸着層を作り、プロトン移動によってH_2O吸着層の中にOHが拡散してくる様子をマイクロXPSによってリアルタイム観測し、その解析を通してプロトン移動の時間スケールを測定した。その結果、H_2O吸着層の中心部にプロトン移動によるOHの生成を確認した。OHの被覆率の時間変化をランダムウォーク理論に基づいて解析したところ、プロトン移動過程は23±5ns間隔で起こっていることが明らかになった。以上のように、本研究において、表面2次元系におけるプロトン移動を確認する方法を提案し、それによって初めてそのタイムスケールを求めることができた。本研究成果はプロトン移動の理解への一つの道筋を拓くものである。
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Research Products
(5 results)