2005 Fiscal Year Annual Research Report
固液界面における光反応ダイナミクスの時間分解ニアフィールド分光
Project/Area Number |
16072217
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
玉井 尚登 関西学院大学, 理工学部, 教授 (60163664)
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Keywords | 顕微過渡吸収分光 / CdTe / 走査プローブ顕微鏡 / フェムト秒 / 量子ドット / 2光子励起 / レーザー捕捉 |
Research Abstract |
Cavity dumper機能を有するTi:Sapphireレーザーを顕微過渡吸収分光法に導入した。これにより,ピーク強度を数十倍上げると共に,フォトニック結晶の長さを短くすることが出来,白色光強度を十分なものとした。これまで,ΔOD=10^<-7>(S/N=±3×10^<-8>)オーダーの極めて微弱な吸収変化の測定と,試料の不均一性を反映した時間分解過渡吸収イメージングの測定に成功しているが,このレーザーシステムでは,吸収強度は強くなったもののS/Nが悪くなった。しかし,従来不可能だった遅い寿命成分の解析や,熱による試料ダメージを防ぐことが可能となり,試料への適用性が拡大した。さらに,この新規な分光システムの性能評価とその応用例として,自己束縛励起子の生成過程が明らかになっていないα-ペリレン結晶の励起状態ダイナミクスの解析を行った。局所領域の2光子励起による時間分解発光分光と過渡吸収を比較することにより自己束縛励起の生成過程にはパルスと同程度の極めて早い過程と約2psで生成する過程の2種類あることを明らかにした。 さらに,YLFレーザーの基本波を用い2光子励起による発光をマーカーとすることにより,3.4〜4.9nmの粒径を持つCdTe量子ドットがレーザー捕捉されることを見いだした。またCdTe量子ドットは,同じ粒径のポリスチレン微粒子などよりも一桁以上大きなgradient forceを持つことが計算により示され,これがレーザー捕捉に重要な役割を果たしていることがわかった。捕捉した量子ドットのガラス基盤への固定化にも成功した。量子ドットの保護剤を部分的に除去しagingさせることにより数百nm〜数μmの長さを持つCdTeナノワイヤが生成した。局所領域の発光ダイナミクスを解析したところ,場所により減衰曲線が異なりまた単一指数関数からのずれが観測された。スペクトルは,量子ドットに比べ長波長シフトしているもののワイヤ全体にわたって非局在化しているわけではないことが明らかになった。
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Research Products
(5 results)