2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16072218
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田中 義人 独立行政法人理化学研究所, 石川X線干渉光学研究室, 先任研究員 (80260222)
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Keywords | 時間分解X線回折 / 有機結晶 / 放射光 / フォトクロミック結晶 / 構造ダイナミクス |
Research Abstract |
フォトクロミック結晶における着色と結晶構造との相関を調べることを目的として、高輝度放射光施設SPring-8にて時間分解X線回折装置の整備を進めた。対象としているジアリールエテン単結晶は、紫外光照射で着色状態に、可視光照射で無着色になり、その着色は室温で安定である。したがって、着色状態への時間変化を繰り返し測定する際には無着色状態へ戻すための光照射が必要となる。以下に初年度で整備した装置系、ならびに結果を示す。 理研専用ビームラインBL19LXUにて、ポンプ-プローブ測定装置、および高速MCS (Multi-channel scaler)を整備し、GaAs半導体単結晶の超短パルスレーザー刺激による格子ダイナミクスを時間分解X線回折法により観測した。この2つの手法により、数十ピコ秒からナノ秒の分解能で、ミリ秒の範囲にわたって測定できることが確認された。 一方、同BL26B1およびBL26B2にて無着色のジアリールエテン単結晶と、400nmのパルスレーザーを照射して着色状態になった単結晶で静的な分子構造決定を行った。結果、分子構造自体の変化の割合は小さいことがわかった。また、格子の変化は、一方向に大きく膨張していることがわかった。 上記で得られた膨張する格子面について、時間分解測定を行った。繰り返し積算測定ができるよう、波長400nmの着色用レーザーや633nmの回復用レーザーの照射のための電磁シャッター整備とそのタイミング制御を行った。また、強度の弱い668nmの半導体レーザーを試料に照射し、その散乱光を分光器を通して光電子増倍管で観測することにより、色変化を同時にモニターできるようにした。これらのシステムにより、格子膨張の時間変化を低速MCSを用いて繰り返し追うことに成功した。その結果、結晶格子は0.5ms以下で変化していることがわかった。
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Research Products
(4 results)