2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16072218
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田中 義人 独立行政法人理化学研究所, 石川X線干渉光学研究室, 先任研究員 (80260222)
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Keywords | 時間分解X線回折 / 有機結晶 / 放射光 / フォトクロミック結晶 / 格子ダイナミクス |
Research Abstract |
大型放射光施設SPring-8にて高輝度X線放射光を用いた時間分解X線回折装置を整備した。これを用いて格子応答測定法を確立し、パルス光が照射されたフォトクロミック有機結晶の格子応答を調べた。以下に、(1)無機結晶においてピコ秒時間分解三結晶回折法の有用性を示した成果、および(2)フォトクロミック結晶における格子応答の観測についての成果を示す。 1.三結晶回折法では、分光結晶によって単色化されたX線を結晶試料に入射し、その回折X線をアナライザー結晶により角度分解して検出する。これにより、単結晶試料に対して変形テンソル成分を個別に測定できる。高輝度アンジュレーター光を用いて、ピコ秒時間分解三結晶回折法を、GaAsおよびSiの単結晶における動的歪み測定に適用した。結果、波長800nm、パルス幅130fsのレーザーを照射した表面近傍で、GaAs単結晶の場合は結晶格子が膨張、Siの場合は圧縮し、その歪みが音速で伝搬、結晶基板の裏面で反射した音響エコーが発生していることがわかった。 2.フォトクロミズムを有するジアリールエテン単結晶は、紫外光照射で着色状態に、可視光照射で無着色になる。波長400nmのフェムト秒パルスレーザー照射で着色状態に、633nmのHe-Neレーザー照射で無着色状態に戻し、特定のブラッグ回折強度の時間変化をマルチチャンネルスケーラーに取り込んだ。結果、レーザー照射中は大きく膨張し、照射後は、伸縮歪みだけでなく、ずれ歪みや、部分的回転が維持されることがわかった。また、X線散乱面に対して垂直方向からレーザー光を当て、50μmの空間分解能でX線回折強度の光進入深さ方向依存性を測定した結果、表面と内部では格子歪みの程度に大きな差が見られた。表面近傍50μmでの格子応答は数μsecであることがわかった。
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Research Products
(4 results)