2005 Fiscal Year Annual Research Report
付加環化反応を基軸とする多置換中員環炭素骨格構築法の開発
Project/Area Number |
16073201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
谷野 圭持 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40217146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 正昭 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50006326)
吉村 文彦 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70374189)
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Keywords | アセチレンジコバルト錯体 / 付加環化反応 / 中員環 / 天然物合成 |
Research Abstract |
昨年度までに、アリルシラン部位を有するアセチレンジコバルト錯体とフランとの[6+4]型付加環化反応を開発し、従来法では入手困難な11-oxabicyclo[6.2.1]undecane誘導体の合成法を確立した。引き続き本年度は、この付加環化体を出発原料とする海洋産天然物sclerophytin Aの全合成研究を行った。まず、付加環化体をヨウ素と反応させて合成した11-oxabicyclo[5.3.1]undeca-2,6-dien-4-one誘導体に共役付加反応によりオレフィン側鎖を導入後、プロモケトン誘導体に変換した。このもののラジカル環化反応により6員環を構築し、生成物のX線結晶構造解析を行ったところ、sclerophytin Aとは異なる立体配置を有することが判明した。このため、構造をより簡略化したモデル化合物を用いて向山アルドール反応による6員環形成法を検討し、環化反応により合成した共役エノンをBirch還元することにより望みとする立体異性体が選択的に生成することを明らかにした。さらに、高次構造天然有機化合物の全合成研究の一環として、新たにジャガイモシスト線虫の孵化促進物質であるsolanoeclepin Aおよび、ダイズシスト線虫孵化促進物質であるglycinoeclepin Aの全合成研究に着手した。これらの化合物に共通して存在する5-6縮環系炭素骨格の効率的な構築法を検討し、4-methoxy-3-butenenitrileの環状エノンへの共役付加反応を用いる新規シクロペンテンアヌレーション法を開発した。本手法は線虫の孵化促進物質のみならず、ステロイドをはじめとするテルペン系天然物の全合成に広く応用可能と期待される。
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Research Products
(7 results)