2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16073204
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木越 英夫 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (90169839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末永 聖武 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (60273215)
早川 一郎 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助手 (20375413)
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Keywords | アプリロニンA / X線結晶構造解析 / アクチン |
Research Abstract |
アプリロニンAは海洋生物アメフラシから単離されたマクロライド化合物の一種であり、がん細胞を移植したマウスの延命効果測定によって、既存の制がん剤を上回る非常に強い制がん効果が見出されている。我々はこれまでの研究で、この物質が細胞の骨格を形成する蛋白質の一つであるアクチンと強く相互作用し、1:1の複合体を形成すること、またその結果、細胞骨格を形成する繊維状のアクチン重合体(F-アクチン)を脱重合して単量体アクチンに分解することを明らかにしていた。よって、アプリロニンAはこれまでの制がん剤とは異なる生体分子を標的とする新型の制がん剤のリード化合物として注目されている。 我々は今回、アプリロニンAのアクチンとの相互作用がこの物質の制がん活性と非常に深く結びついていると考え、アプリロニンAとアクチンの複合体の構造解析をSPring-8のビームラインBL38B1において測定したデータを用いて行った。その結果、1.45Å解像度の高精度での構造解析に成功した。 構造解析の結果、アプリロニンAのFアクチン脱重合活性に非常に重要な構造特性をいくつか見出した。さらにアプリロニンAの制がん活性に重要な官能基のうちの一つ(トリメチルセリン)が、アクチン-アプリロニンA複合体中で非常に特徴的な構造をとっていることがわかった。このトリメチルセリンを無くしたアプリロニンAの誘導体は、Fアクチン脱重合活性は有するが制がん活性を著しく失う、という我々の過去の実験結果と今回の結果から、この官能基の特徴的構造がアプリロニンAの制がん活性に非常に大きく寄与している可能性が高いと結論付けた。 この研究から得られた知見をさらに詳細に検討することによって、新しい制がん剤の開発につながる可能性が見出された。
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Research Products
(6 results)