2006 Fiscal Year Annual Research Report
メタラサイクルを用いるワンポット多成分連結法の開発
Project/Area Number |
16073208
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
占部 弘和 東京工業大学, 大学院生命理工学研究科, 教授 (10176745)
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Keywords | 共役負荷反応 / オレフィン / アセチレン / グリニャール試薬 / 鉄触媒 / イットリウム / 不飽和アミド / ワンポット反応 |
Research Abstract |
既に報告したアセチレンとアレノールエステルのチタナサイクルを経由する分子内環化反応により、まずビシクロ環化合物を合成した。この側鎖中のビニルブロミドをビシクロ環上のオレフィンヘヘック反応で付加させ、3環性化合物へと導いた。官能基変換の後、当初の計画通りトリキナン型テルペンであるヒルステンの全合成が達成できた。したがって、チタナサイクルを経由する反応が、環構造をもつ天然有機化合物の合成に有用であることが例示出来た。 ジエンアミドに鉄塩共存下でアリールグリニャール試薬を作用させると、中間に鉄のメタラサイクルを経由すると推定されるが、1,6-付加反応が選択的に進行しcisのオレフィンを有する付加体が得られた。光学活性アミンから誘導されるアミドに対し同様の反応を行うと、アミドのδ-位に高い鏡像体過剰値で置換基が導入出来た。共役付加によって系内に生じるエノラートに求電子試薬としてハロゲン化アルキルを作用させたところ、アミドのα-位に高い鏡像体過剰値でアルキル基を導入できた。したがって、当初の計画通り光学活性ジエンアミドをテンプレートとして、鉄塩共存下でアリールグリニャール試薬とハロゲン化アルキルを順次加えることにより、ワンポットで不斉多成分連結反応を達成することが出来た。 本年度は、種々の金属によるメタラサイクルの発生とその利用について検討することを、特に重要な研究方針とした。その結果、アセチレンにビニルグリニャール試薬と塩化イットリウムを作用させることにより、イットリウムを含む新規なメタラサイクルが発生できることがわかった。このメタラサイクルは複数の求電子試薬と反応でき、アセチレン、ビニルグリニャール試薬、複数の求電子試薬の多成分連結反応が可能となった。この反応を利用して、医薬であるタモキシフェンの合成を達成した。 以上要するに、18年度の当初に提示した計画を、ほぼ順調に達成できた。
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