2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16073210
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 隆司 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (70212222)
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Keywords | キラル合成素子 / 軸不斉化合物 / 軸不斉ビフェニル / 生理活性天然物合成 / 酵素触媒 / エナンチオ選択的反応 / 非対称化反応 / エリスリナアルカロイド |
Research Abstract |
合成法の確立された光学活性化合物を合成素子として用いるアプローチは,天然有機化合物の不斉合成において重要な位置を占める。本研究では,新しいタイプのキラル合成素子として軸性不斉化合物に着目し,これらを活用する合成方法論を開発している。本年度の主な成果を以下の通りである。 (1)4つのオルト置換基を持つ軸不斉ビフェニルはキラル素子として高い有用性をもつと期待されるが,その合成は軸不斉ビフェニルの中でも特に難しい。これに対して,酵素触媒によるエナンチオ選択的非対称化反応が優れた手法となることを明らかにした。種々の芳香族変換を可能にする複数の置換基を備えたオルト四置換軸不斉ビフェニルを,合成容易な対称型ビフェニルから高いエナンチオ選択性で得ることができる。また,酵素触媒を適切に使い分けることによって,エナンチオマーの作り分けも可能である。 (2)エリスリナアルカロイドは,ヒドロインドール環とテトラヒドロイソキノリン環がスピロ型不斉中心を共有して縮環した特徴的な四環骨格をもつ。古くから合成化学の標的化合物とされてきたが,不斉合成の例はきわめて限られている。 ビフェニル化合物を,立体選択的に脱芳香化して,不斉中心を含む脂環式構造へと変換するためのさまざまな手法を検討した結果,エリスリナアルカロイドの骨格を立体選択的に構築するための2つのアプローチの開発に結びついた。これらを応用し,エリスラチジノンおよび11-メトキシエリスラチジンンの全合成に成功した。
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