2004 Fiscal Year Annual Research Report
海洋生物由来の医薬シーズとしての生体機能分子の探索
Project/Area Number |
16073212
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 資正 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (40116033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 俊二 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (60252699)
古徳 直之 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (20362618)
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Keywords | 生態機能分子 / 海洋生物 / 分化誘導物質 / 多剤耐性克服物質 / 海綿 |
Research Abstract |
がんの細胞情報伝達系に特異的に作用する活性天然物質(生体機能分子)を発見して広く世に供給することができれば、その活性物質がツール(生化学試薬)として利用されることにより、がんの分子機構の解析が大きく進展するとともに、新たな医薬品開発に展開する可能性を秘めている。本研究では、1)特にがんと神経変性疾患に着目し、これら疾患に関わる細胞内情報伝達系に特異的に作用する活性天然物質を探索するアッセイ系を構築し、これまでに集めた海綿を中心とする海洋生物の抽出エキスライブラリーから探索する。2)そして新たに発見した阻害物質とそれらから設計・合成した光親和性放射性標識体やビオチン標識体などの各種の天然分子プローブを用いて標的分子を同定し、細胞内情報伝達系への作用機構を解析する。3)また、他班で合成された生体機能分子についても活性評価を担当し、新しい治療薬シーズの開拓研究を共同で展開する。本年度は、以下の成果を得ている。1)海洋Streptomyces属放線菌の代謝産物から、神経芽細胞腫(Neuro2A)に神経突起を進展させる化合物としてkomodoquinone Aと命名した新規アントラキノン型配糖体を見出し、その全化学構造を明らかにした。2)ヒト慢性骨髄性白血病細胞K562を赤芽球様細胞へ分化させる分化誘導物質として海綿から見出したセスキテルペンキノンsmenospongineについて、構造と活性の相関を解析するとともに、分化誘導作用のメカニズムについて解析した。3)ABCトランスポーターP-gpを過剰発現する多剤耐性がん細胞KB-C2の多剤耐性を克服する化合物として、海綿からkendarimide Aを見出し、機器分析と化学合成によりその全化学構造を解明した。
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