2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16073215
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
供田 洋 北里大学, 北里生命科学研究所, 教授 (70164043)
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Keywords | 脂質代謝 / 循環器・高血圧 / 微生物由来機能分子 / 感染症 / 医療・福祉 |
Research Abstract |
脂質代謝との関連性から生活習慣病と感染症に焦点を当て、今年度は微生物資源を対象に脂質代謝を制御する機能分子の探索に力を入れた。生活習慣病に関わる評価系として、1)ACATアイソザイム(ACAT1とACAT2)に対する阻害の特異性を観察する系、感染症に関わる評価系として、2)エルゴステロール生合成を阻害する抗真菌剤の活性を賦活化させる活性物質を選択する評価系、3)抗結核活性を評価する系を基軸に行なった。その結果、beauvericln類など9種の新規化合物を発見した。 マクロファージ泡沫化阻害剤として発見したbeauveriolideの標的分子はACATと推定している。サルACAT1とACAT2を選択発現させたCHO細胞を入手し、ACATアイソザイムに対す選択性を細胞レベルで評価した結果、beauveriolideIIIは高濃度でACAT2に対して影響を与えていたが、比較的ACAT1を強く阻害した。またコンビケムの手法で合成したbeauveriolide誘導体のACAT1とACAT2に対する選択性を評価した結果、細胞毒性を示すことなく、さまざまなプロファイル(ACAT1阻害、ACAT2阻害、ACAT1とACAT2の両方を阻害する)を示す誘導体を見いだした。さらにACATを含め標的分子の解析を進めるために、^<251>I化可能な誘導体を作製し、活性を保持していることを確認した。 Phenochalasinの泡沫化過程における標的分子を明らかにするために、大量培養により本物質を単離した。 抗結核活性を有するlariatln(KO1-BO171物質)は、18及び20残基のアミノ酸からなるペプチド化合物であり、N末端Glyアミノ基と8残基目Glu側鎖カルボキシル基がアミド結合により環化した構造であることを明らかにした。さらにNMRによる溶液構造解析を行なった結果、lariatin Aが環部を尾部が通過した「投げ縄構造」と呼ばれる3次元構造を有することを明らかにした。Mycobacterium属に対する抗菌スペクトルを測定した結果、臨床薬で用いられている抗結核薬isoniazid及びethambutolと同様にlariatinは選択的にM.smegmatis及びM.tuberculosisに抗菌活性を示した。現在標的分子の探索を明らかにするために、lariatinAのC末端にアビジンを導入し、活性を保持していることを確認した。
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