2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16073219
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
林 雄二郎 東京理科大学, 工学部, 助教授 (00198863)
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Keywords | 全合成 / 血管新生 / 抗炎症剤 / 抗ガン剤 / Diels-Alder反応 |
Research Abstract |
我々は既にアルデヒドに触媒量のプロリン存在下ニトロソベンゼンを作用させるとアルデヒドのα位に立体選択的にアミノオキシ基が導入できることを見いだしている。今回、この反応の一般性の検討を行い、幅広いアルデヒドに適用可能であることを明らかにした。さらにケトンに対してそのαアミノオキシ化を試みたところ、この場合にはニトロソベンゼンをゆっくりと滴下することにより、収率よくかつ高い不斉収率で対応する酸化生成物が得られることを明らかにした。その一般性についても検討を行った。 一方、我々は強力な血管新生阻害剤であるepoxyquinol A,Bの初めての全合成に成功している。この反応では鍵反応として、生合成経路を模倣したモノマーの酸化的2量化(Diels-Alder)反応を用いた。反応のメカニズムを計算化学を駆使して検討した。その結果、epoxyquinol Aは電子的に有利なendo付加体であるのに対し、epoxyquinol Bは不利なexo付加体である。電子的には不利であるが、分子内水素結合が効率的に作用し、epoxyquinol Bが得られることを明らかとした。溶媒によって得られるepoxyquinol A,B体の割合が異なることも見いだした。 さらにEI-1491-2はinterleukin-1β converting enzyme (ICE)の阻害剤であり、抗炎症剤として期待されている。その全合成の報告はない。今回、すでに全合成が完了したepoxyquinol A, Bの合成中間体を利用し、分子内carboxypalladationを鍵反応とすることにより、高立体選択的にその初の全合成に成功した。また、そのepimerも立体選択的に合成した。
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