Research Abstract |
平成17年度は,茶花および石蓮花の抗肥満・抗糖尿病作用成分を明らかにすることを目的に,活性成分の探索を行った結果,茶花から新規サポニンfloratheasaponin A-Cを単離・構造決定し,石蓮花から多数の新規アシル化フラボノール配糖体を単離・構造決定した.また,1'S-1'-acetoxychavicol acetateは脱顆粒抑制などの抗アレルギー作用を示すことが判明していたが,その作用機序の解明とより有効な化合物の合成を試みた.その結果,エキソメチレン部分をフェニル基に置き換えた化合物に有効性を認めた.さらに,作用機序の一部には細胞内遊離Ca^<2+>の上昇を抑制することが判明した.多数のフラボノイドについて,がん細胞(HT1080)の基底膜浸潤抑制作用について検討した結果,数種のフラボノール類およびイソフラボン類に活性を見出すとともに構造と活性に関する知見を得た. さらに,昨年度に引き続き,当研究室で保有している植物ライブラリーの中から,有望な植物をピックアップすることを目標に,膵リパーゼ阻害,α-グルコシダーゼ阻害,および好塩基球白血病細胞(RBL-2H3)を用いた脱顆粒抑制,基底膜浸潤阻害などの抗肥満,抗糖尿病,抗アレルギー及びがん転移抑制作用に関するin vitroアッセイおよびマウスを用いたin vivoアッセイを実施した.その結果,茶種子の新規トリテルペンサポニンteasaponin E_3〜E_7類を単離,構造決定するとともに胃粘膜保護作用成分を明らかにした.また,雪蓮花(Saussurea medusa)から新規ヨノン配糖体saussureoside A,Bを単離・構造決定するとともに,アルドース還元酵素阻害活性成分を明らかにした.日本民間薬ヤマニンジン(Angelica furcijuga)のクマリン類に活性化マクロファージにおける一酸化窒素(NO)の過剰産生を抑制することを明らかにした.また,1'S-1'-acetoxychavicol acetateおよびその誘導体に活性化マクロファージからの一酸化窒素産生抑制活性を見出し,構造活性相関を明らかにするとともにinterferon-βおよび核内転写因子NF-κBの活性化を抑制することを明らかにした.さらに,糖尿病に有効と伝承されていたインド伝統薬Salacia reticulata, S.oblongaのα-glucosidase阻害活性成分salacinolの構造活性相関を明らかにする目的で,多数の関連化合物を合成し,構造と活性相関に関する知見を得た.川骨アルカロイド6-hydroxythiobinupharidineに短時間型アポトーシス誘導活性を見出し,caspase-8が関与する経由が推察された.以上,平成17年度の当初計画をほぼ達成したものと考える.
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