Research Abstract |
本研究では,研究対象とする薬用植物として,伝承薬効が確実で,食経験があるなど安全性が確立しているものを現地調査から厳選し,探索資源とする.そして,in vitroやin situ系アッセイを組み合わせた新しい総合評価系を構築応用して,特に,1)肥満や2型糖尿病の予防,治療物質,2)I型アレルギー抑制物質,3)癌増殖過程における癌細胞の浸潤や転移の抑制物質を探索,解明するとともにの構造と活性相関を明らかにするとともに,分子プローブを創製するなどして分子レベルでの作用メカニズムの解明を目標としている.昨年度に引き続いて新しい総合評価系を用いて,有望な薬用植物の選別を行い,ローズヒップやロベイラから抗肥満・抗糖尿病作用成分としてアシル化フラボノール配糖体tilirosideおよびステロイドアルカロイド配糖体を明らかにし,tilirosideについては活性発現のために必須構造およびその作用機序の一部を明らかにした.タイ伝統薬Erycibe expansaから腫瘍細胞の増殖抑制および浸潤抑制成分として4種のロテノイドを明らかにした.甘茶の抗アレルギー成分thunberginol Bおよび大良姜の一酸化窒素産生抑制活性成分1'S-1'-acetoxychavicol acetateの構造活性相関について実施し,活性発現のための必須構造を明らかにし,活性が保持される標識化合物の創製を試みるなど,平成18年度の当初計画をほぼ達成したものと考える.
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